2010年12月24日金曜日

オタク発祥地・中野変貌

日経BP社配信の『ケンプラッツ 総合メール 2010年12月22日号』で、「タク発祥地・中野変貌/スタバ最先端の環境店舗/建築基本法制定へ<ケンプラッツ総合 日経BP社 12/22>」が配信されました。

以下、引用です:


■注目記事
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<特集1:「変わる街」「稼ぐ駅」開発の醍醐味と難しさ>

▼サンプラザも再整備、中野駅周辺開発が活発化
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/building/news/20101217/544763/
中野サンプラザや中野ブロードウェイなどで知られる東京都中野区のJR中野駅周辺で開発の動きが活発化している。野村不動産などが駅南側に図書館を備えた高層マンションを2012年秋のオープンを目指して建設中。さらには駅北口周辺の再開発も本格的に動き出した。

 上記のホームページで、詳細な記事を閲覧できます。

またホームページ下に記事の投票欄とコメント欄も設けられています。

2010年12月14日火曜日

12月16日(木)警大跡地裁判です

警大跡地市民フォーラムからのお知らせです。


警察大学校等跡地の計画の取消を求めて東京都を訴えている裁判があります。

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●日時
12月16日(木)午前10時15分~

●場所
東京地裁522号法廷
(地下鉄「霞ヶ関」駅A1出口すぐ)
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警大跡地西側の低層住宅地、杉並区高円寺北1丁目との間に設けると約束した「緩衝帯型オープンスペース」を「壁面後退」で充分だとする東京都に対し「区域の特性にふさわしい態様を備えた良好な環境」が考慮されていないとして争っています。

みなさま、傍聴よろしくお願いいたします。


警大跡地市民フォーラム

2010年11月20日土曜日

トイレが大変 災害時の教訓 図書紹介

山下 亨『阪神・淡路大震災と新潟県中越大震災の教訓 トイレが大変!―災害時にトイレ権をどう保障するか』(近代消防社、2005/08)
 
「本書は、災害時に避難所などでのトイレ混乱という点にのみ焦点を当て、災害時のトイレ権をどのようにして保障したらいいかについてとりまとめたものである。 」 (「BOOK」データベースから)

「都市型マルチ災害だった阪神・淡路大震災、都市生活機能を備えた中山間部災害の新潟県中越大震災。この二つのトイレ混乱を回顧して、国民一人ひとりの災害トイレ対応のあり方を問い直し、災害時のトイレ対策の箍を締め直す。 」(「MARC」データベースから)
 
山下 亨『トイレって大事!―災害救援ガイドブック』 (近代消防社、2006/12)

「「トイレ」の目線で考えると、大震災に備えて本当にしなければならないことがわかってくる。3つの大震災トイレ事件簿、避難所でのトイレの安全管理、平素の公共トイレ危機管理、災害用トイレ製品情報などを収録。 」(「MARC」データベースから)


著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」から)

山下 亨
1949年岡山県に生まれる。1974年3月神戸大学法学部卒業。兵庫県庁、自治省、経済企画庁、小笠原総合事務所、地方公務員災害補償基金、消防庁、日本鉄道建設公団国鉄清算事業本部、消防団員等公務災害補償等共済基金、消防大学校、(財)救急振興財団等を経て、現在、日本消防検定協会。日本災害情報学会会員、日本トルコ協会会員、日本トイレ協会会員、災害トイレ学研究会代表、災害文化研究会代表世話人、千葉県オストミー協会準会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

2010年11月14日日曜日

防災公園裁判、第6回口頭弁論

専門家による意見書を提出

11月11日(木)、中野・警察大学校等跡地にできる防災公園の面積縮小の違法性確認を求めている裁判が開かれました。

原告側は今回、都市防災学の専門家である元早稲田大学教授・村上處直先生の意見書を、中野区が主張する防災公園」が、本来の防災公園としての機能を備えていないことを立証する証拠として提出しました。

以下は村上氏の意見書です。

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2010年11月5日

意見書

東京地方裁判所民事第3部B1係 御中

元早稲田大学教授
防災都市計画研究所会長
村上 處直


東京地方裁判所平成21年(行ウ)第253号 都市計画決定違法確認請求事件及び第428号 都市計画決定違法確認請求事件について、防災都市計画を専門とする立場から以下のとおり意見を述べる。

①    高さが不揃いな高層ビルのリスク

被告、中野区は準備書面(1)において次のように述べている。

「また、被告は、今後、警察大学校跡地に建築される建設について、建物の不燃化、建物相互間のオープンスペースの確保及び樹木の適切な配置等について指導誘導していく方針であり、これらの措置が適切になされれば、延焼被害あるいは大規模な輻射熱や熱気流による被害も減少し、大規模な公園のみ設置するよりもむしろ災害時の危険拡大を防ぎうるのであり、当初の計画と比べて公園面積が減少したからといって、これらにより原告らを含めた区民の安全が脅かされるものではない」

上記の書面において中野区が想定している火災は、地震時の同時多発火災で危惧される火の粉を含む乱気流の危険性を考慮していない。大火災時の乱気流を防ぐには、中野区が述べる建物の不燃化や建物相互間のオープンスペースの確保だけでは不十分であるばかりか、逆に乱気流を加速させる可能性が大きい。

なぜなら、大火災時の火流は周辺環境と違うところをねらって入り込んでくるからである。跡地周辺の中低層の住宅と違って、高層ビルが林立する跡地は火を誘い込む可能性が高い。また、ビルとビルの隙間があれば火流はそこから侵入する。建物の高さがそろっていなければ、火災時に火の粉を含んだ乱気流が発生する恐れが強い。跡地に計画が予定されている高層ビルは高さが不揃いであり、隙間を塞ぐ工夫も施されていない。また、たとえ不燃化された高層ビルであっても、窓ガラスやファサードなどの開口部の破損により火の粉が入り燃え上がる危険性がある。

さらに、同公園を含む広域避難場所の安全性を考えたとき、周辺市街地の火災に対する脆弱性を無視できない。跡地を含む「中野区役所一帯」は東京都によって広域避難場所に指定され、約10万人が避難することになっている。しかし、跡地が接する早稲田通りの北は、東京都が定める火災危険度5あるいは4の火災に弱い木造密集市街地が集中している。また西側の杉並区も同様に木造密集市街地が広がっている。そのため、震災時、火災が発生し、同時多発的に数ヶ所の延焼面積が2000㎡を超えた場合、一気に乱気流を含む大火に至る恐れが強い。

同公園周辺市街地の不燃化が進んでいない現状では、1923年に起きた関東大震災の際、大きな被害を出した本所陸軍被服廠跡地の状況と酷似している。当時、墨田川に近い6.7ヘクタールの跡地及び周辺の資材置き場を含め約9ヘクタールの場所には多くの人が避難し、火災旋風に襲われ約4万人が死亡した。

②    防災公園の面積・機能ともに不足


同公園の面積が当初の4ヘクタールから1.5ヘクタールに縮小したことによって防災の機能面で以下の2点で大きな不利益が生じる恐れがある。

(1)広場機能の縮小

防災公園内の広場には、市街地大火の輻射熱からの安全性とともに、想定される災害救援活動(車輌やヘリコプターの進入、テント野営、救援物資の搬入など)が展開できるオープンスペースとしての機能が重要だが、今回の縮小によって災害時に柔軟に使用できる面積が大幅に失われている。乙33号証によれば、同公園は広場空間(大)、広場空間(小)、水景広場、林間広場の4空間で構成されているが、これらの広場を防災空間としてどのように利用するかについては詳述されていない。

一方、中野区地域防災計画(平成19年修正)の「第4節 オープンスペースの確保」(同23頁)は、「オープンスペースは、災害時における避難者の安全確保や火災の延焼防止に役立つだけでなく、がれき処理や物資の配給等の応急・復旧活動時の様々な対策を円滑に行うためにも重要な役割を果たす。中野区のような都心区において、オープンスペースを確保することは、困難ではあるが極めて重要な課題である。(後略)」としている。

  この点について、中野区は「防災公園の縮小分を民間事業者からの提供によるオープンスペース1.5ヘクタールで代替し、全体として3ヘクタールを確保」と反論している。しかし、その部分は、多目的に活用できる芝生などのグランドカバー植栽でない上、大型車輌の加圧やヘリコプターの離着陸にも弱いタイル地舗装が予定されており、防災機能への配慮に欠ける。

(2)不十分な防災施設

乙33号証によれば、同公園には防災施設として、災害時にも利用できるトイレ12基、防災井戸、マンホールトイレ、防災倉庫、非常用照明を設けるとしている。

なお、原告の友人が中野区公園・道路分野に問い合わせたところ、マンホールトイレ数は20基また防災井戸の数は2と判明した。

同公園が約10万人の広域避難場所の中核として機能するには疑問が残る。例えば、極めて 深刻な課題である災害時トイレは、阪神淡路大震災、中越地震、中越沖地震などを経て、避難住民70~100名に1基が必要との認識が定着しており、少なくとも960基の整備が必要である。現計画の32基では不足している。仮に整備するにしても、1基あたりおよそ2㎡が床面積として必要であり、総面積は約2000㎡となる。必要面積は公園のおよそ13%を占める計算になる。言い換えれば、限られた公園面積において災害時トイレなどの防災施設の充実を図れば図るほど、避難有効面積が減少するジレンマに陥る。

また、同公園に避難する市民を火の粉や飛び火から守るためには出入口のシャワーや放水銃、それを支える地下貯水槽の設置などによる水の確保が不可欠である。しかし、当該計画では、生活用水としての70立方メートルの水景広場と2本の防災井戸、また同地区内に建設される予定の建物、すなわち東京建物のオフィス・商業ビル、帝京平成大学、早稲田大学にはそれぞれ40立方メートルの防火水槽しか設置の予定がなく、明治大学においては皆無である。10万人が避難する予定の広域避難場所の中核である防災公園の水の備えとしては不十分である。

他方、杉並区立蚕糸の森公園は隣接する小学校敷地と合わせて4.2ヘクタールで広域避難場所に指定されている。公園出入口に火の粉の流入を防ぐシャワーはじめ公園地下には、水量1500立方メートルの震災対策用応急給水施設、隣接する300立方メートルの小学校のプールなどを配置し水を確保することで広域避難場所として指定されている。

③新たな都市計画では一人あたりの避難有効面積拡充を

避難者1人あたりの避難有効面積の根拠について、「平成17年度 避難場所等の安全性に関する調査 避難場所の安全性に関する考え方、方針に関する報告書」(東京都)は、次のように述べている。

「東京都防災会議(昭和41年3月)『東京下町地区の大震火災時避難に関する研究(その1)』において、1㎡/人と設定された。
故浜田稔博士は、「多人数を1人/㎡(=1㎡/人・筆者追記)に収容することは、常識的には過密であり、少なくとも0.5人/㎡(=2㎡/人・筆者追記)程度に計画したいのであるが、(中略)大火災が一応収まる時間(最も厳しい時間は1~2時間程度、それ以後は準安全面積も漸次安全面積となる)だけの避難であるから、1人/㎡(=1㎡/人・筆者追記)でがまんすることとする。」としてる。(浜田稔、1974『東京大震火災への対応』日本損害保険協会)。」

すなわち、東京都においても設定当時から1人当たりの避難有効面積が1㎡では不十分であることは明らかに認識されていた。

その他の地域防災計画等の指針における基準においても、「都市防災構造化対策に関する調査報告書」(建設省、平成8年10月)では原則として1人当たり2㎡以上とし、「都市防災実務ハンドブック」(建設省都市局都市防災対策室監修、平成9年9月)も2㎡以上とし、但し、地域の実情により1㎡以上とすることができるとしている。さらに同報告書は、「場合によっては数時間以上同じ場所で耐える必要があり、ある程度の広さを確保しなければならい状況を考えると、1人1㎡は過密ともいえる。今後も、できるだけ1人1㎡以上の避難有効面積を確保できるよう防災対策の充実に努める」としている。(P91)

これに対し、中野区が算定した避難対象想定人口は10万7193人(乙32号証)であり、1人当たりの避難有効面積はわずか1.09㎡に留まり、座るのもままならないスペースに留まる。なお、この想定人口の妥当性への疑問については後述する。今回のような新たな都市計画決定においてはできるだけ一人当たり避難有効面積を2㎡以上をめざすべきである。
 
④広域避難場所「中野区役所一帯」の避難人口想定は過小

「広域避難場所「中野区役所一帯」の将来人口想定」(乙32号証)は敷地面積を学生1人当たりの面積で除することで学生数を割り出しているが、その計算式自体が意味不明である。大学の昼間人口に関しては、学生数を採用した方が適切である。

2010年9月7日に開催された「帝京平成大学中野キャンパス計画工事に関する説明会」での会場からの質問に対して、帝京平成大学は学生・教職員数を4000人とし、また、9月30日に開催された「明治大学中野キャンパス建築計画の見直しに関する説明会」において、第1期工事分では学生2500人、教職員150人(なお第2期工事は未定)と回答している。

また、区域4、区域5の建物は業務商業の用途であるが、本来、買物客、通勤客及び帰宅困難者等の人数を加えるべきである。仮に、買物客として3000人を見込むと、その人数を加えた方が適切である。結論としては、避難場所「中野区役所一帯」の将来人口想定として、被告の想定より少なくともおよそ7000人多い11万3975人と考えるべきである。現在の建築計画では、避難有効面積として10万9882㎡とされている(乙27号証)。そのため、1人当たりの避難有効面積は0.96㎡になり、1人当たりの避難面積1㎡を下回る。

結論

私は、市街地大火の危険性を体験・熟知し、研究していた諸先輩の薫陶を受けた最後の世代である。木造密集市街地に囲まれた同跡地における中野中央公園の安全性には重大なる憂慮を禁じ得ない。

2010年10月2日土曜日

「地区計画取消訴訟、第5回口頭弁論」  被告・東京都の説明責任を指摘した原告側準備書面

中野区の「警察大学校等跡地開発計画は、周辺の環境を悪化させる」として、「地区計画の取消」を求めて周辺住民が東京都を訴えている裁判の第5回口頭弁論と、「『中野区中野四丁目地区における建築物の制限に関する条例』(地区計画条例)の取消」を求めて同住民が中野区を訴えている裁判の第1回口頭弁論(事実上併合)が、2010年8月26日(木)東京地裁522号法廷で開かれました。

行政の説明責任

第3回口頭弁論(4月22日)で裁判長は、被告東京都に「これまでの原告の準備書面に対する必要な認否・反論」を指示したのに対し、第4回口頭弁論(6月10日)で東京都が提出した準備書面は、ほとんどの求釈明には触れぬまま、原告が4月22日に求釈明の追加で求めた「緩衝帯型オープンスペース」の定義についても、それまでの主張を繰り返すに過ぎませんでした。

しかもこれは、第3回口頭弁論で裁判長がその定義について回答するよう求めたのに対して、東京都が「中野区が対応したことであって、東京都としては答えられない……」と回答し、裁判長から「都市計画決定にあたり都は中野区と情報交換をしているはず。東京都の立場でどのような情報の把握をしているのかを説明するのが基本である」と指摘された部分です。

裁判長はすでに、第3回口頭弁論で「議論の対象は出揃った」とし「結審」の方向性を示しています。

にもかかわらず東京都は、第4回口頭弁論でも、今回の第5回口頭弁論でも、その書面において原告の求釈明に答えていません。

こうした都の姿勢を、今回の原告側準備書面では「被告は原告の求釈明に一貫して、『答えようとする態度を示しながら、全く答えていない。』」とし、「本件が訴訟にまで至った大きな理由として,原告ら住民に対する被告の説明不足が指摘される」と、被告都の説明責任について指摘しました。

一方裁判長は、「東京都は原告の求釈明に対して、骨格の部分には答えている。原告は今後、求釈明に対し都が答えていない部分について主張した方がよい」という認識を示しましています。

当事者は誰か?

裁判で争うことができるのは、違法であるか、合法であるか、です。

跡地の開発にあたって中野区は各事業者と、「賑わいと環境が調和した安全なまちを実現するため」『警察大学校等跡地のまちづくりに関する覚書』を取り交わしています。

すでに工事説明会を終えた事業者もあるなか、覚書についてどの程度実行されているのか問い合わせても、中野区も事業者もはっきりと回答できないまま工事や計画が進んでいます。

行政は、「原告適格」と「処分性」を盾に争う必要はないという姿勢を一貫し、その責任の所在すら行政同士で譲り合っています。

開発事業者は、計画が合法でさえあれば法的拘束力のないものについては考慮する姿勢を見せないものも少なくありません。

多くの人が「何か変だ」と思っても、その不合理を示す指標が法律の中にない以上、司法は現在の法律の中での判断を下さざるを得ない、という姿勢を崩しません。

とすれば、私たち一般「市民」は、いったい誰と手を組めば良いのでしょうか? 

行政のための空間、事業者のための空間、司法のための空間がそれぞれ別にあれば問題は起きないかもしれません。

しかし、私たちの暮らす「場所」はたった一つしかないのです。

活発化している法改正への動き

7月に行われた「訴訟提訴1年の報告集会」で、原告側弁護団の日置雅晴弁護士から「相次ぐ爭訟や自治体の動き・社会状況の変化と相まって、理念の明確化をめざす建築基本法制定や建築許可制の取り入れなど法改正への動きが活発になってきている。今後1~2年が正念場になる」とのお話を聞きました。

現在全国各地で行われている訴訟の一つひとつが、未来の「場所」の礎石になることを願わずにいられません。

2010年8月11日水曜日

中野区警大跡地訴訟提訴から1年の報告集会 盛会裡に終わる

7月26日、提訴から1年の報告集会を開催しました。

警大跡地市民フォーラム発足時から会員として支援いただいている参加者の方の感想をご紹介します。
                                                                                                     
















裁判支援に加わった初心
改めて思い起こす


昔懐かしい雰囲気の木造の舞台付大広間。

昼からの熱暑の続く会場にクーラーはない。

扇風機を配置し座卓をならべた満座の熱気のなか開幕。


《スライドによるプレゼンテーション》

●わかりやすい導入

報告では、これまでいろいろな会場で活躍してきた投影画像(パワーポイント)を駆使、解説を加えた完成予想画像や避難状況のシミュレーション画像などで、警大跡地利用計画の問題点と不当性が簡明に提示された。

それぞれの担当弁護士の説明を聞くに際し、これは参加者にとってとてもわかりやすい導入部になった。 

《富田裕・花澤俊之両弁護士の話から》

  














●訴えの正当性を再確認

私たちの側の訴えの正当性を再確認するとともに、「原告適格」と「処分性」の法の壁をどう突破するか、多くの行政訴訟同様に楽観を許さない厳しいものが依然としてこの訴訟にもあるということを改めて噛み締める。


《日置雅晴弁護士の記念講演を聞いて》

●立法府を変える世論形成を

建築学会・日弁連・国などの法改正への近年の動きや住環境を守る自治体行政の先進例が紹介された。

富田・花澤両弁護士の話と重ねて、建築・まちづくりにかかわる日本の法体系が、技術論先行で明確な理念を持っていないのではないかとの感をますます強くした。

理念のはっきりした上位法がない以上、法廷での争いも、そして判決も、技術論型の現行法の制約を引きずることになるのだと思わざるを得ない。

一方、「規制緩和」という名の改悪を重ねてきた現行法のもとでも、住民運動や訴訟の積み重ねのなか、住民側勝訴の最近のいくつかの判例や自治体での行政努力の事例があることも紹介された。

相次ぐ爭訟や自治体の動き・社会状況の変化と相まって、理念の明確化をめざす建築基本法制定など法改正への動きが活発になってきていること、今後1~2年が法改正の正念場になるとの話は、住民運動を取り巻く状況が大きな曲がり角を迎ようとしていることを強く印象づけるものだった。

政府の諮問会議での議論、建築関係諸団体による議論・提案、日弁連提案などについての話からは、今後の綱引きが激化するであろうことも垣間見えた。

住民運動の側からの見極めがいっそう重要になってくるに違いない。

住民の思いを反映した立法・法改正へと進むには、立法府を変えるほどの世論をつくれるかどうかにかかっていよう。

住民運動と結んだこの裁判がしっかりたたかわれれば、結節点を迎えようとしている法改正の動きのなかで、判決のいかんにかかわらず世論形成に寄与できるのではないかーー裁判支援に加わった初心を改めて思い起こした。

                                                                                                 

日置弁護士の講演の後、中野駅南口、東中野地域のまちづくり、中野サンプラザ問題に取り組むグループからの報告、また杉並や川崎、朝霞など中野区外の参加者の方々からも各地での都市計画問題に対する活動が紹介され、会場では活発な意見交換が行われました。

次回は地区計画の取消しを求める裁判です。

ご支援よろしくお願い申し上げます。

2010年8月9日月曜日

1年かかった  被告・中野区からの求釈明への回答

東京都中野区の警察大学校等跡地に計画されている防災公園の面積が、4ヘクタールから1.5ヘクタールに縮小されたのは違法だとして、中野区を訴えている裁判の第5回口頭弁論が、前回の口頭弁論(4月15日)から約3ヶ月ぶりの7月8日(木)、東京地裁522号法廷で開かれました。

前回原告は、「準備書面(3)」(2010年4月13日)で、被告中野区に対して、主に次の3点の求釈明を求めました。

①計画通りに建物が建設された場合の避難有効面積を地図上に明らかにすること
②「中野区みどりの基本計画」で公園を4ヘクタールと決定した経緯と算定根拠
③1.5ヘクタールに減らしてもよいと判断した理由

この回答に中野区が2ヵ月の期間が必要としたため、前回口頭弁論から3ヶ月もの期間が経つことになったわけです。

これらの求釈明については、原告が当初から求めていたものです。

これに対し中野区は、裁判で争う問題ではない、必要が生じていないとして、これまで回答していませんでした。

提訴から約1年、ようやくこれまでの求釈明に対する回答がなされました。

裁判長は、被告が求釈明に回答してきたことから「主要な論点はにつまりつつある」との解釈を示しています。

判断材料に乏しい回答内容

しかしその内容は判断材料となるべく具体性に欠き、新たな議論の展開には至らないものでした。

①については、「中野区役所一帯」安全性評価結果図も提出されたものの、そこに示された情報量があまりに少なく、②、③については今までの主張を繰り返したのみで、それぞれの公園面積を求めた根拠は示されていません。

また、避難有効面積算定の根拠となるべき図面を持っていないといった主張もされており、原告はより詳細な図面の提出等を求めました。

公園を都市計画決定する法的根拠となる「中野区みどりの基本計画」と、その上位計画である「中野区都市計画マスタープラン」の齟齬については、法体系の別を理由に齟齬があっても問題ないとし、みどりの基本計画に示された公園面積等は具体に決定されたものではなく努力目標であり、イメージ図程度の意味合いしかない、と主張しました。

これは、面積算定の根拠を明言する必要性を避けているようにも思えます。

「中野区みどりの基本計画」に書かれた数値はイメージなどではない

しかし、「中野区みどりの基本計画」は、中野区自らが「中野区都市マスタープラン」の個別計画として位置づけています。

「中野区みどりの基本計画」に即して防災公園の面積を4ヘクタール確保すべきです。

また、本文には「約4ヘクタールの公園を都市計画決定し、」と断言・明示されています。

これは努力目標やイメージなどではなく具体的な数値を都市計画決定したということであり、これに満たない約1.5ヘクタールの防災公園を都市計画決定したのは法律に違反していると、原告は反論しました。(「準備書面(4)」(2010年7月3日))

また、被告中野区は、原告が「東京都地域防災計画の避難有効面積1人1㎡を確保していない」と主張していることに対して、客観的根拠がないとしています。

原告は、東京都都市整備局が、避難場所等の安全性について首都大学大学院教授を中心とした避難場所安全性等調査研究委員会に調査研究を委託した報告書に、避難面積1人当たり1㎡の根拠が述べられているとして、その報告書の提出を求めました。

次につながる議論を

8日の裁判には中野区を始め、世田谷区の「にこたまの環境を守る会」、杉並区の「三井グランド環境訴訟原告団」、「阿佐ヶ谷住宅周辺の一種住専の環境を守る会」からも傍聴に来ていただきました。

暑い中、本当にありがとうございました。 

提訴から1年が過ぎましたが、これまでのやり取りで納得のいく議論ができたように思えません。

「三井グランド環境訴訟原告団」の方からご自身の裁判も含めて、「住民の安全性について、法律論で次につながる議論にする必要がある」というコメントをいただきましたが、この裁判を意味のあるものにするために、まだまだしなくてはならないことがあると感じています。

今後とも、みなさんのご理解とご支援をよろしくお願いいたします。

2010年7月17日土曜日

中野「警大跡地訴訟」1周年報告集会開催



































中野「警大跡地訴訟」1周年報告集会

期日:2010年7月26日(月)午後7時- 9時30分

会場:桃園会館 (クリックで地図)
〒164-0001
東京都中野区中野3丁目35-1 
 
03‐3381-1961
 
資料代:500円 
 
講師:日置雅晴弁護士

中野区内などまちづくりグループからのアピールもあります。

みなさまのご理解とご参加をお願いいたします。

連絡:kdaishiminforum@gmail.com










2010年6月17日木曜日

今までの主張を繰り返すのみの東京都

−−地区計画取消訴訟第4回口頭弁論−−

2010年6月10日(木)、中野区の警察大学校等跡地で進められている開発計画は、周辺の環境を悪化させるとして、地区計画の取消を求めて周辺住民が東京都を訴えている裁判の第4回口頭弁論が、東京地裁522号法廷で開かれました。

■地区計画条例取消訴訟は事実上併合

また、この地区計画に法的効力を持たせるため昨年10月に中野区が制定した「中野区中野四丁目地区における建築物の制限に関する条例」(地区計画条例)の取消を求めて同じく周辺住民が4月21日に中野区を提訴。その第1回口頭弁論も事実上併合という形で行われました。

■被告・東京都の書面の概要

前回の第3回口頭弁論(4月22日)では、裁判長は東京都に対して次回までに、これまでの原告の準備書面に対する必要な認否・反論をするように指示していました。これに対し東京都が準備した書面(3)では、原告が4月22日に求釈明の追加で求めた、警大跡地と高円寺北1丁目との間の「緩衝帯型オープンスペース」の定義について述べているに過ぎません。

その主張の概要は以下のとおりです。

「中野駅周辺まちづくりガイドライン2007」に示された緩衝帯機能についての被告の理解の理解を述べる。

緩衝帯としての機能確保は、低層住宅地の良好な住居の環境、日商、通風、騒音、圧迫感等に大きな変化が生じないよう、これらへの影響を軽減させる緩衝帯機能の確保であって、空間及び植栽を設けることが効果的である。

ガイドラインにいう「適切なオープンスペースを設けることなど」とは、単なる空間ではなく、植栽を設けることや近接する建物の高さをなるべく抑えることなど、さまざまな方策を意味する。……図面凡例「緩衝帯型オープンスペース」は、南側の三角地については広場や緑地、原告らの居住する西側(にしがわ)は道路と壁面後退で生じる空間を想定したものである。(斜体フォーラム)

被告は、西側隣地境界付近においては、緩衝帯型オープンスペースとしては、歩道上空地及び壁面後退による空間及び植栽を設けることにより、既存居住区との緩衝帯としての機能確保を図ることとされていると理解している。」

原告はこれまで、「中野駅周辺まちづくりガイドライン2007」と事業者が提出した「企画提案書」に図面とともに明記されている、「緩衝帯型オープンスペース」を、壁面後退にすり替え、反故したことについての求釈明を求めてきました。

さらに、前回口頭弁論では裁判長から被告に対し、「ガイドラインに書かれている『緩衝帯型オープンスペース』が当時どういう意味でつくられたのか」について回答するよう求められました。

しかし東京都は「中野区が対応したことであって、東京都としては答えられない……」といった趣旨の発言をし、裁判長は「都市計画決定にあたり都は中野区と情報交換をしているはず。東京都の立場でどのような情報の把握をしているのかを説明するのが基本である」と指摘しています。

東京都の書面は、裁判長の指摘に誠実に答えていると言えるのでしょうか?

■開発前の現状を知ってもらうために「検証申出書」を提出

原告は今回、「求釈明申立書」と「検証申出書」を提出しています。

検証の申出とは、裁判所に現地検証を求めるもので、日照権の侵害や風害の被害がある場合に現地を検証する場合がほとんどですが、原告側弁護人から裁判長に対して、今回の申出には、建物が建って被害が出た状況を検証するのではなく、緩衝帯の位置が原告の家と近接している現状を「建物が建っていない今の段階の環境で見る必要がある」という意図の説明がされました。

それぞれの内容は以下のとおりです。

●求釈明申立書の概要

1.「中野駅周辺まちづくりガイドライン2007」では、南側と西側の2か所が「緩衝帯型オープンスペース」として示されている。しかし、2008年に事業者が都に提出した企画提案書では両者の扱いが明らかに異なっているのに、何をもってガイドラインを反故にしていないというのか。

2.現時点でどのような植栽を予定しているのか。その植栽が緩衝帯として機能しうるのか。

3.公聴会や住民説明会、意見書の提出などの都市計画決定手続きにおいて、地権者や住民からどのような意見が出され、具体的にどのように反映されたのかまたは反映されなかったのか。

4.都が行った風環境調査の結果があるのか。

事業者から都に提出されている風環境調査の結果と、防風対策が具体的に記載されている結果の提出。

●検証申出書の概要

原告らの居住地と建設が予定されている大規模建物、「緩衝帯型オープンスペース」の位置関係を明らかにするために、原告らの居住地とその付近の検証を求める。

■原告による意見陳述に拍手

原告、被告双方の書面確認の後、原告による意見陳述が行われ、警察大学校等跡地の再開発計画について、杉並区住民と東京都・中野区・杉並区などとのかかわりについて説明し、この計画が住民無視で進められてきたことを陳述しました。

約10分間の陳述が終わると同時に傍聴席から拍手がおこりました。裁判長からは「拍手はやめるように」と注意がありましたが、思いがけない傍聴者の反応でした。

裁判後に行われた報告集会の感想にも、意見陳述について「良かった」という感想を多数いただきました。















裁判後の報告集会


 次回裁判

8月26日(木)午前10時15分から

東京地裁522号法廷

今後ともご支援をよろしくお願い申し上げます

道路(幅員12m)の工事が進む警大跡地西側

道路(幅員12m)の工事が進む警大跡地西側。左が、既存住宅地高円寺北1丁目
(2010年6月17日撮影)

右側の盛り上がった部分に大学施設が建設される予定。この大学施設と高円寺北1丁目の間に「緩衝帯型オープンスペース」の整備が約束されていたが、地区計画では6mの壁面後退しかない

奥の建物は東京警察病院

警察病院は現状の高さ約50m、大学施設は最高で高さ約55mの予定

2010年5月27日木曜日

警大跡地市民フォーラム通信第3号発行









































4月15日と22日の裁判の報告をまとめた、「警大跡地市民フォーラム通信」第3号を発行しました。

近隣や各種集会などでの配布など、ご 協力をお願いいたします。

ご連絡いただきましたら、まとめてお送りいたします。

連絡先:kdaishiminforum@gmail.com

ど うぞよろしくお願いします。

2010年4月25日日曜日

4月21日、地区計画の条例を提訴 訴訟は3つに

現在2つの裁判が進行中

 中野駅北口に広がる警察大学校等跡地は、戦前は陸軍中野学校、戦後は警察大学校警察学校などがあった国有地で、約14ヘクタール、東京ドーム3.5個分の広さに相当します。

 2001年、国の行政機関等の東京一極集中是正の目的で警察大学、警察大学校などが府中市へ移転しました。

 住民からは、跡地を、公園を中心にした計画にしてほしいという数多くの要望が中野区に出されましたが聞き入れられず、2007年と2009年に、高層ビルを中心とした地区計画が都市計画決定されました。

 こうして、中央部に整備される予定の1.5ヘクタールの防災公園と都市計画道路予定地を除く部分が民間に売却され、中野区に残された貴重な国有地のほとんどが失われました。

 この警察大学校等跡地の開発計画をめぐって、中野区と杉並区の住民が2009年5月と7月に、中野区と東京都を相手取り、計画の違法性確認と取消を求めて裁判を起こしました。

 同じ敷地内の開発計画ですが、都市計画決定権者が、防災公園は中野区、民間に売却された部分は東京都であるために、提訴する相手が違うという理由から私たちは現在、2件の裁判を闘っています。

たちはだかる都市計画の「処分性の壁」

 昨年の提訴に当たり私たちは、現在の都市計画を司法の場で争うには、「処分性の壁」「原告適格の壁」「裁量行為の壁」という、3つの壁があることを弁護団から教えられました。

 裁判が始まると、予想どおり、相手方からは、「原告には訴える資格がない(中野区)」、「地区計画には処分性がない(東京都)」、という反論がでてきました。

 「処分性がない」とは、地区計画は抽象的段階の計画であって、個別具体的な権利について影響を及ぼすものではない、従って行政処分にはあたらないというものです。

 これに対して私たちは、警大跡地地区計画決定までの経緯から、建築物の規模や配置、形態などは具体的に制限されているので地区計画には処分性がある、として東京都と争っています。

2009年10月、中野区が地区計画条例を制定

 今後事業者は建築確認申請の手続きに入りますが、地区計画だけでは建築確認の対象とならないため、地区計画に法的効力を持たせる「中野区中野四丁目地区における建築物の制限に関する条例」(地区計画条例)を昨年10月、中野区が制定しました。

 地区計画で定めた内容のうち、建築物の用途、構造及び敷地に関する制限を定めたものです。

 地区計画には処分性がないと反論する東京都に対して、条例には建築確認という処分性があることから、私たちは中野区の地区計画条例の取消を求めて4月21日に提訴しました。これにより、地区計画には処分性があることの主張が強まります。

地区計画条例取消訴訟、第1回裁判は6月10日

 追加した地区計画条例取消訴訟の第1回裁判の期日が決まりました。地区計画の取消を求めて東京都と争っている裁判と同じ日です。

 みなさまの、ご支援、傍聴をどうぞよろしくお願いします。

 ●地区計画取消訴訟、地区計画条例取消訴訟の裁判
  6月10日(木)午前10時15分〜
  東京地裁522号法廷
 (地下鉄「霞ヶ関」駅A1出口すぐ)

*訴状は、警大跡地市民フォーラム書庫
http://kdaiatochisimin-arch.blogspot.com/

2010年4月24日土曜日

警大跡地市民フォーラム、中野区長に「要望書」を提出

 私たち「警大跡地市民フォーラム」は、去る4月19日、田中大輔中野区長に下記の「要望書」を提出しました。

 この内容は、すでに4月15日の第4回裁判(防災公園)で、裁判長が、被告・中野区に対し、原告の資料要請に応えるよう指示している内容です。

 私たちは、田中大輔中野区長に、本来すぐに、資料として公表できるはずの関係図面の裁判所への提出が、なぜ1ヵ月半も必要なのか、大きな疑問を持っています。

 防災公園をふくむ、警察大学校等跡地再開発計画における「広域避難場所『中野区役所一帯』の避難有効面積109.882㎡」の地図上での明示など、私たちは、今回の「要望書」で、4月末日までの「回答」と「資料の公開」を求めました。

 みなさまの、ご理解と、ご協力をお願いいたします。

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2010年4月19日
警大跡地市民フォーラム

中野区長 田中 大輔 様

要望書

 花冷えの候、貴職におかれましてはご清祥のことと拝察致します。
 さて、この度、私たちは貴職にたいし以下のとおり要望致します。
 つきましては、ご査収のうえ早速なるご返答と資料の公開を2010年4月30日までにお願い致します。



1.中野区は警察大学校等跡地に予定されている『中央防災公園』等を含む広域避難場所『区役所一帯』の避難有効面積を109.882㎡あるとしています。
 この避難有効面積の積算根拠となった地図等の図面の公開を求めます。

2.なお避難有効面積のうち『安全面積域』100,048㎡、『準安全面積域』9,834㎡については区別して明らかにして下さい。

 また『領域面積』『利用可能面積』『利用不可能面積』『有効面積』についても地図上で明らかにして下さい。

以上

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【今後の裁判の日程】

第4回裁判(地区計画):2010 年6月10日(木)午前10時15分から
東京地方裁判所522号法廷
地区計画変更の違法性及び取消を求める裁判


第5回裁判(防災公園):2010年7月8日(木)午前10時15分から
東京地方裁判 所522号法廷
防災公園の面積縮小の違法性を求める裁判

2010年4月23日金曜日

[地区計画取消訴訟 第3回口頭弁論] 裁判長、被告の東京都に対し基本姿勢を正す





















「中野駅周辺まちづくりガイドライン2007」45頁から
争点になっているのは凡例3つ目の「緩衝帯型オープンスペース」
ガイドラインに明記されている縦長楕円の部分が、現在の計画では 消えている
(左は拡大図)

 4月22日(木)中野区の警察大学校等跡地で進められている開発計画は、周辺の環境を悪化させるとして、地区計画の取消を求めて被告の東京都を訴えている裁判の第3回口頭弁論が、東京地裁522号法廷で開かれました。

「緩衝帯型オープンスペース」はどこ?

 はじめに、通常通り原告・被告双方の書面の確認の後、裁判長から議論の対象の確認が行われました。

 具体的には、この裁判の重要な争点のひとつである「緩衝帯型オープンスペース」について、被告が今回追加で提出した証拠・乙14号証(「中野駅周辺まちづくりガイドライン2007」のP45、図参照)の図面上で、どこを指すのかの確認です。

 裁判長から「区域6の濃い緑の部分か」と質問があり、被告側代理人は「区域1の縦長の楕円の部分と区域5の三角形の部分の2カ所である」と答えました。

 また、原告側弁護人は「原告が問題にしている『緩衝帯型オープンスペース』は、ガイドラインの43頁にある【周辺との連続性に配慮したオープンスペースの形成】の中の『杉並区に隣接する西側隣地境界付近』の縦長の楕円の部分である」と答えました。

 その後、裁判長は被告に、原告の準備書面に対して必要な認否・反論をするように指示しました。

原告からの追加要望

 続いて裁判長は、議論の材料は揃ってきたという認識を示し、また次回被告による認否・反論が行われれば、一通りそれぞれの主張が出揃うとし、終結の判断に入ってよいのか、それとも人証等を予定しているのかを確認しました。

 これに対し原告側弁護人が、以下の3点を要望しました。

1.求釈明の追加(「緩衝帯型オープンスペース」の定義・内容について、双方の認識に相違があると考えられるため、それを明らかにすること)

2.「地区計画の条例(中野区中野四丁目地区における建築物の制限に関する条例)」取消訴訟の併合(4月21日に提訴)

3.次回口頭弁論での原告による意見陳述

 裁判長が被告に対し、原告が追加した求釈明———ガイドラインに書かれている「緩衝帯型オープンスペース」が当時どういう意味でつくられたのか———について回答するよう求めたところ、被告代理人から「中野区が対応したことであって、東京都としては答えられない……」といった趣旨の発言がありました。

 しかし、裁判長は、「都市計画決定にあたり都は中野区と情報交換をしているはず。東京都の立場でどのような情報の把握をしているのかを説明するのが基本である」と指摘しました。

傍聴者との意見交換から

 裁判の後は毎回、報告集会を開き、弁護団から裁判の説明を聞いて、傍聴者の方々と意見交換をしています。

 今回の報告集会で、傍聴者から、次の発言がありました。

「同じ緩衝帯型オープンスペースでも、区域1の縦長の楕円の部分と区域5の三角形の部分の扱いは違っている。三角形の部分は緑地として都市計画決定されている」

「『緩衝帯』には、建物の高さの段階構成も、ふくまれるのではないか」
 
大きく変わった裁判のイメージ

 裁判は、テレビドラマ等で見られるような法廷内での言葉の応酬で進むイメージを持っていましたが、実際には書面のやりとりでほとんどが占められていることに驚きなした。

 また、開かれた法廷を目指すといいながら、素人の目には裁判で何が行われているのかが見えにくいことに戸惑いを禁じえませんでした。

 しかし、前回の公園の裁判(4月15日)に引き続き今回の裁判でも、弁護団が原告団の気持ちを汲んで法廷で積極的に発言してくださっている姿を心強く思いました。

 と同時に、被告側からも単なる受け答えだけでなく、法廷内で原告や傍聴者にわかるよう説明する姿勢を見せて欲しいと思います。

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次回期日

第4回口頭弁論:2010年6月10日(木)午前10:15〜 

東京地裁522号法廷

原告による意見陳述など
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2010年4月17日土曜日

第4回裁判(防災公園)終了しました
































被告・中野区への求釈明


 中野区・警察大学校等跡地に計画されている防災公園の面積が4ヘクタールから1.5ヘクタールに縮小されたのは違法だとして中野区を訴えている裁判の第4回口頭弁論が、4月15日(木)、東京地裁522号法廷で開かれました。

 今回の裁判は、原告が「準備書面(3)」(2010年4月13日)で、計画通りに建物が建設された場合の避難有効面積を地図上に明らかにすること、「中野区みどりの基本計画」で公園を4ヘクタールと決定した経緯と算定根拠、1.5ヘクタールに減らしてもよいと判断した理由などの求釈明(文末に詳細)を、被告である中野区に求めました。

 これらは、「準備書面(1)」(2009年11月13日)や、「準備書面(2)」(2010年1月28日)で、その資料提示を求めていたもので、これに対し中野区は裁判で争う問題ではない、必要が生じていないとして、今まで回答してこなかったものです。

裁判長、被告の中野区に対し
原告の資料要請に応えるよう指示

 裁判長は中野区に対し、行政としてどのように避難有効面積を算出したのか(原告の資料要請に)回答するよう指示しました。

 中野区はその回答に2ヵ月の期間が必要と答えたため、原告側弁護人は工事が既に始まっているので、この期間の短縮を求めました。

 これに対し被告側代理人は、「図面の確認に時間が必要」としましたが、原告の弁護人は、「具体的に避難有効面積の数字が出ているので図面の確認は終わっているはず。その図面をこれから確認するというのはおかしいのではないか」と追求しました。

 被告側弁護人は「代理人として確認していないので、そのための時間が必要」と重ねて主張したため、裁判長は「無理強いはできない」として、被告側の準備期間を1ヵ月半として、中野区に5月中に資料を提出するよう指示しました。

 また、原告側弁護人は、裁判長に、中野区に求めた回答の範囲は、「準備書面(3)」への求釈明なのか、今までの原告の要求に対してなのかを確認したところ、裁判長から「準備書面(3)」の求釈明に回答した上で、今までの要求への回答についても検討するよう指示がありました。

 中野区が数字であげている避難有効面積を地図上に明記するのに2ヵ月を要するというのは長過ぎます。

 この間にも工事は進んでいるのです。中野区は迅速に書面を用意すべきです。

三井グランド、下北沢からも傍聴に

 15日の裁判には中野区を始め、杉並区の「三井グランド環境訴訟原告団」「まもれシモキタ行政訴訟の会」からも傍聴に来ていただきました。

 冷たい雨の中傍聴にいらしてくださったみなさま、本当にありがとうございました。

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次回裁判日程

第3回裁判(地区計画):2010年4月22日(木)午前10時45分から
東京地方裁判 所522号法廷、地区計画変更の違法性を求める裁判


第5回裁判(防災公園) 2010年7月8日(木)午前10時15分〜 東京地裁522号法廷
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原告側「準備書面(3)」の求釈明

1 乙27の内容の明確化の要請

 被告は,乙27「1-33頁」を示して,基本計画どおりの建物が建設された場合に,避難有効面積が109,882平方メートルあると主張する。

 しかし,この乙27は,単に,数字を示すものにすぎず,現実に,この数字の避難有効面積があるか否かは不明である。

 そこで,以下の部分を明らかにすることを求める。

 まず,「全体面積」とは地図上どの部分を指すのか図示されておらず,「有効面積」とは,地図上,どの部分を指すのか図示されていない。

 そこで,被告に対して,これらを地図上で示して明らかにすることを求める。

 さらに,「安全面積域」の有効面積100,048㎡,「準安全面積域」の有効面積9,834㎡の部分は,「調査項目の内訳」のどの部分に対応するか明確でないので,明確にすることを求める。

 また,「安全面積域」,「準安全面積域」とは,地図上どの部分に対応するのか図示して明らかにされたい。領域面積,利用可能面積,利用不可面積,有効面積についても地図上に明示されたい。

 仮に,図示できないというなら,その理由を示されたい。

2 みどりの基本計画に関する求釈明

 みどりの基本計画(乙6)の14頁では,「中野区役所一帯の広域避難場所の中核として,警察大学校等移転跡地に約4ヘクタールの公園を都市計画決定し,整備推進に努めます。」と書かれている。

(1) 4ヘクタールの根拠を明示する要請

 このように,みどりの基本計画の中で「約4ヘクタール」という広さを明示していることからすると,相応の検討の結果,4ヘクタールという数値に定められたものと考えられる。

 そこで,この4ヘクタールという数値の決定した経緯及びその際の算定根拠について明らかにされたい。

(2) 1.5ヘクタールに減らしてもよいと判断した理由明示の要請

 みどりの基本計画では,防災公園の面積を「約4ヘクタール」として,それだけの面積を確保することを明確に記載し,しかも,防災公園は,広域避難場所の「中核」という形で,避難場所の中でも重要な役割を担うものとして記載されている。

 そして,今日において,4ヘクタールという面積はなくなったものの,防災公園が区役所一帯の広域避難場所の「中核」として扱われていることは変わらない。

 すなわち,新しいみどりの基本計画である乙30の34頁では,「区役所一帯の広域避難場所の中核として,警察大学校跡地に(仮称)中央部防災公園を整備します。」と記載されている。

 しかし,この防災公園の面積が1.5ヘクタールとなった場合,被告主張の避難有効面積約10ヘクタールのうちの15%程度でしかない。また,この1.5ヘクタールとは,100メートル×150メートルの広さであり,小学校のグラウンドの広さよりも狭いくらいである。

 この程度の面積で広域避難場所の「中核」としての役割を担えるか疑問である。

 仮に,被告がこの程度の面積でも広域避難場所の中核を担えると考えるなら,その理由を示されたい。

 また,被告が,防災公園の面積を1.5ヘクタールに減らしてもよいと判断した理由について,防災上の観点から合理的な理由を明らかにされたい。

3 乙21と乙27の避難有効面積の算定のしかたの明示の要請

 乙21の6頁目(最後の頁)では,建築前の平成11年度当時の中野区役所一帯の広域避難場所の避難有効面積が97,962㎡であることを記載している。

 これに対し,乙27では,基本計画の通り建築物が建てられた後の避難有効面積を109,882㎡であると記載している。

 そこで,乙21の避難有効面積が97,962㎡と乙27の避難有効面積を109,882㎡とを図で示して,建築物と空地の広さがどのように変化したことになるのか明らかにされたい。

 同時に建築前である平成11年度の全体面積,安全面積域,準安全面積域,利用可能面積,利用不可面積を地図上に図示されたい。

*乙27:被告側提出証拠の、「警察大学校跡地等関連支援業務報告書」。2008年度に建物建設を前提に避難場所の避難有効面積の検討を行った事及びのその検討結果。

2010年4月5日月曜日

ご支援よろしくお願いします 次回裁判のお知らせ


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防災公園訴訟の第4回口頭弁論
 4月15日(木)午前10時15分~  
  東京地裁522号法廷

地区計画訴訟の第3回口頭弁論
 4月22日(木)午前10時45分~  
  東京地裁522号法廷

※両日の裁判終了後に、弁護団との報告集会があります。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

●最近の警大跡地ウオッチング(2010年3月22日)はこちらから


本日の注目記事から:

●三菱商事ビルでガラス520枚撤去、09年の落下は不純物膨張

2010年2月8日月曜日

裁判長、中野区に対し「避難有効面積」の意味と「中野駅周辺まちづくり計画」の位置づけについて説明を求める










































公園面積4haから1.5haへの 変更は、開発内容の変質でもありました


裁判長、中野区に対し
  「避難有効面積」の意味と
  「中野駅周辺まちづくり計画」の位置づけについて
  説明を求める


2009年2月5日(金)、警大跡地の防災公園面積縮小の違法性を問う裁判の、第3回口頭弁論がありました。

原告側住民の訴えの内容は、次のとおりです。

1.「中野区みどりの基本計画」には、警大跡地の防災公園について、「中野区役所一帯広域避難場所の中核として、警察大学校等移転跡地に4ヘクタールの公園を都市計画決定し、整備推進に努めます」と明記されている。

2.みどりの基本計画は、都市緑地法第4条の2に基づいて策定されたものであるが、その法的性格は、都市計画マスタープランの個別計画の性格を併せ持っており、都市計画マスタープランの一部をなすものである。

3.都市計画マスタープランは、「市町村の都市計画に関する基本的な方針」(都市計画法第18条の2第1項)にあたり、「市町村が定める都市計画は、基本方針に即したものでなければならない」(同法第18条の2第4項)と規定されている。

4.したがって、中野区が定める個々の都市計画は、中野区みどりの基本計画を含む、都市計画マスタープランに即したものでなければならない。

5.警大跡地の防災公園の面積を1.5haとした都市計画決定は、みどりの基本計画に示された面積を大幅に下回っており、基本方針に即したものとは言えず、都市計画法第18条の2第4項に反しており、違法である。

※「中野区みどりの基本計画」=2001年策定、2009年改定

これに対し、被告の中野区は、「中野区みどりの基本計画」は、基本方針を具体化する計画であって、基本方針の一部をなす計画ではないので、4haの防災公園の都市計画決定が、みどりの基本計画に反するからといって違法ではない、と反論しています。

訴訟の争点を説明すると、このようになりますが、私たち住民の訴えの争点は、計画決定に至るまでのプロセスと、計画自体の妥当性にあります。

中野区が、計画決定の手続きにおいて、住民に対し、十分な情報提供をしてこなかったことや、説明責任を果たしてこなかったこと、必要な避難面積と避難場所としての安全性が本当に確保されているのかなどを明らかにするために、計画が決定された段階でできる唯一の住民の権利行使の手段として、司法に訴えたのです。

これまでのところ、中野区は、原告の主張に対する反論よりも、そもそも原告には、訴える資格や、訴えの利益がないなどと、裁判の入り口部分の反論を展開し、訴えの中身である違法性の議論に立ち入ろうとしていません。

5日の法廷で、八木一洋裁判長は、中野区に対し、次の2つについて説明を求めました。

1 中野区が書面で使っている「避難有効面積」の言葉の意味について

 中野区は、準備書面の2頁と3頁で、「避難有効面積」という言葉を使っているが、それぞれ中身が違うように思われる。

 法令などの根拠があるのか。


2 「中野駅周辺まちづくり計画」(2005年策定)はどういう性格のものとして策定されたのか

 原告の、みどりの基本計画と齟齬があるという主張について理解したいので、この計画の位置づけについて知りたい。

また、次回までに、主張を立証するのかどうか(違法性の議論に入るのかどうか)方針を決定してほしいということも、中野区に指示しました。

原告側からも、中野区に対し、避難場所としての民有空地、オープンスペース、避難面積、避難人口などに関する資料の公開を、繰り返し要請しています。

次回裁判は、4月15日(木)午前10時15分~ 東京地裁522号法廷です。

最後になりましたが、傍聴に来てくださったみなさま、どうもありがとうございました。

2010年2月4日木曜日

いのちを守る都市計画を














警大跡地の防災公園予定地付近

左奥の三角の建物は中野サンプラザ
(2009年5月に撮影)


防災公園の面積縮小の違法性を問う第3回裁判

 ○2月5日(金)午前10時15分から 
 ○東京地裁522号法廷
  地下鉄「霞ヶ関」駅A1出口すぐ


「いのちを、守りたい。」

鳩山首相の施政方針演説はこの言葉から始まりました。

昨年11月27日、警大跡地訴訟の原告団は第2回裁判でスライドによるプレゼンテーションを行いましたが、このプレゼンのテーマも、期せずして「住民のいのちを守る」でした。

広域避難場所の中核となる警大跡地の防災公園の面積縮小は、周辺住民らの生命を守る避難場所として、十分な広さ、機能などを確保できないとして、その違法性を訴えている裁判です。

「いのちを守る」を最優先に都市計画を考えてほしいというのが、住民の願いです。

被告の中野区は、これまで準備書面において、私たちの訴えは①当事者の権利・利益ないし法律関係・法的地位となんら関係しないので法律関係の要件を欠き不適法な訴えであり、②過去の事実の違法確認だから確認の利益がなく、③仮に①が適法だとしても、東京都震災対策条例47条は、個々の避難場所周辺住民の個別的、具体的利益を保護するものではない、と反論しています。

2月5日の裁判で注目すべきは、この中でも③についてです。

中野区は、「避難場所の指定は、法律の規定に基づくものではなく、東京都震災対策条例(以下「都条例」という)47条1項の規定に基づくものである。」「都条例2条に定める都知事の基本的責務は……東京都民一般に対する都知事の行政上の責務の目標を示すものにすぎず」「都条例は、47条1項の規定による都知事の避難場所の指定に何の法的効果も与えておらず、ある特定の土地が避難場所として指定されても、一般区民に当該避難場所を利用・占有できる権利等を付与するものではない」と釈明しています。

(*ここで気になるのが都条例47条1項の内容ですが「知事は、震災時に拡大する火災から都民を安全に保護するため、広域的な避難を確保する見地から必要な避難場所をあらかじめ指定しなければならない」と規定しています。)

つまり、「震災時に拡大する火災から都民を安全に保護する」ことは、都知事の責務の目標に過ぎず、東京都民一般というのはあくまで一般で、私でもあなたでもない、ということのようです。

中野区の考える公益は、一人ひとりの「いのち」の総体でないようですが、個々の区民の生命を守らずして公益が存在するのか、法律にも、いのちを吹き込んでほしいと切に思います。

原告団がどう反論しているかについては、裁判の後で弁護団から報告があります。

みなさま、どうか、2月5日の第3回口頭弁論の傍聴をお願いいたします。

2010年1月24日日曜日

地区計画取消し訴訟 第2回口頭弁論終了

















口頭弁論終了後に弁護士会館で行われた報告集会の様子

裁判長、追加資料の提出を指示

1月22日(金)、警大跡地の地区計画の取消しを求める第2回口頭弁論がありました。

傍聴においでいただいたみなさま、本当にありがとうございました。

これまで原告からは訴状、準備書面(1)と(2)、被告の東京都からは答弁書と準備書面(1)が提出されています。

八木一洋裁判長は、証拠を追加してもらったほうが(裁判所が)内容を理解できるとして原告、被告双方に以下の追加資料の提出を指示しました。

原告側

1.再開発等促進区を定める地区計画運用基準実施細目

被告側

1.大学(明治大学、帝京平成大学)の建物と道路離隔距離がわかる証拠

2.原告が被告に対して求めている釈明

(1)緩衝帯を設けることになっていたガイドラインが結局反故にされる過程において、行政側でどのような考慮がなされたか。

(2)特に住民の要求で設置が決まった緩衝帯をなくすにあたっての代替措置の検討はどうなっていたか?

原告は、外壁の後退部分は(西側住宅地との)緩衝帯ではなく、壁面後退が地区計画通りに実施されても緩衝帯の代替地にはならないと主張しており、これに対する東京都の弁明を求めています。


盛況だった報告集会

口頭弁論終了後の報告集会は、日置雅晴弁護士らによる、都市計画訴訟をめぐる最新事例のお話があったこともあってか初めての参加者の方も多く、おかげさまで盛況でした。

中野区や杉並区、世田谷区、国立市など、地域で開発問題に直面している(したことのある)方々からのアピールや、「こうした情報交換などをやっていきましょう」などいろいろご意見をいただきました。

報告集会参加者の方々のご感想

たぬきの森は本当によかったと思っています。
 大きな緑などには人々の関心は集まりやすいのですが今、住宅地の緑がごっそり失われてその事に危機感を持っています。
 自宅の近くに特に何か所もあるので唖然としています。
 今後もよい方向にいくよう、関心のない人々にも広めていこうと思っています。

○同じ区民の苦痛の声を他人事と思ってはいけないと感じました。

○問題をなんとかしようという人たちが持つ「熱気」を感じました。
 また、それと同時に、この場に若い人の姿がないことに少しさみしさも感じました。
 自分にできることを考えたいと思います。

○日置弁護士の話はたいへんよかった。
 条例を裁判で争える件は興味津々。

○市民の資産であるみどりを守りたい。


次回期日は4月22日(金)10:45~、東京地裁522号法廷です。

ご支援、どうぞよろしくお願いします。

2010年1月14日木曜日

ご支援よろしくお願いします 次回裁判と報告集会のお知らせ


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●地区計画取消訴訟の第2回口頭弁論
 1月22日(金)午前10時45分~  
 東京地裁522号法廷

●報告集会
 同日11時15分ころ~(口頭弁論終了後)  
 弁護士会館10階 1002会議室
 (東京地裁の隣です)
 
日置雅晴弁護士、富田裕弁護士による特別講演あり
 講演「都市計画訴訟をめぐる司法の変化」

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●都からは予想通りの答弁書

警察大学校跡地の開発計画は周辺の住環境への配慮がないとして、計画の取消と違法性の確認を求めている裁判です。

被告の東京都は予想通り、①地区計画には処分性がないので裁判で争う段階ではない、②違法性の確認の利益がない、と答弁しています。

私たちは、処分性については、この計画が環境や防災、住民の生命や生活に影響のある計画であることを主張し、確認の利益については、建築確認の段階では実質救済されず手遅れであり、地区計画の段階で争う必要があると反論しています。


●報告集会で特別講演

口頭弁論終了後は毎回、地裁隣の弁護士会館で報告集会を行っていますが、22日の報告集会は特別企画。警大跡地訴訟について弁護団からの説明、質疑応答の後、日置雅晴先生と富田裕弁護士による最新の事例に関する特別講演もあります。

○日置先生のお話--新宿区下落合・たぬきの森の建築確認取消判決について

 昨年12月17日、最高裁判所の第1小法廷で開かれた、“たぬきの森”をめぐる違法建築裁判の判決で、最高裁は新宿区の上告を全面的に退け、住民側の最終的な全面勝訴が確定しました。
 日置先生曰く 「建築確認取消が確定した初めての事例です。」
 ほぼ完成していたマンション工事は現在、止まっています。簡単に是正できない違法なので全面解体になるかもしれないとのことです。

○富田先生のお話--浅草・超高層マンションの建築確認取消について

 昨年12月24日、浅草寺ほか住民が東京地裁に景観悪化などを理由に建築許可の取り消しを求めていた超高層マンション計画が、東京都の建築審査会で建築確認取消になりました。
 但し総合設計許可は棄却、設計の問題点を指摘して確認は取消です。
 工事は止まっています。富田先生から現状をご報告いただきます。

他にも昨年来鞆の浦や泡瀬干潟の住民側勝訴など、都市計画訴訟の画期的な判決が続いています。
司法や都市計画手続きに起こっている変化の意味について考え、意見交換したいと思いますので、裁判の応援とともに報告集会へのご参加もぜひお願いします。

2010年1月2日土曜日

明けましておめでとうございます 今年もよろしくお願いいたします





















警大跡地南側から撮影した現況
中央の建物は東京警察病院(高さ約50メートル、2010年1月1日撮影)
開発が予定通り進むと数年後には、写真の手前に明治大学の校舎
(最高高さ約70メートル)や巨大な業務・商業ビル(高さ約100目ートル)が立ちはだかり、警察病院は見通せなくなる




















南側から東側を望む
三角の建物は中野サンプラザ
手前は道路の整備工事
(2010年1月1日撮影)

東京は穏やかな天気で新年を迎えました。

警大跡地の工事も年末年始の間はお休みで、久しぶりに揺れのない(工事中は地震のような毎日です)静かな時間を過ごせています。

早速ですが、1月22日と2月5日には地区計画と防災公園の裁判(裁判の日程をご参照ください)があります。

警大跡地の開発について中野区と東京都がこれまで示してこなかった数々の疑問への真実を法廷で明らかにしていけるよう頑張ります。

今年も応援、ご支援を、どうぞよろしくお願い申し上げます。