被告・中野区への求釈明
中野区・警察大学校等跡地に計画されている防災公園の面積が4ヘクタールから1.5ヘクタールに縮小されたのは違法だとして中野区を訴えている裁判の第4回口頭弁論が、4月15日(木)、東京地裁522号法廷で開かれました。
今回の裁判は、原告が「準備書面(3)」(2010年4月13日)で、計画通りに建物が建設された場合の避難有効面積を地図上に明らかにすること、「中野区みどりの基本計画」で公園を4ヘクタールと決定した経緯と算定根拠、1.5ヘクタールに減らしてもよいと判断した理由などの求釈明(文末に詳細)を、被告である中野区に求めました。
これらは、「準備書面(1)」(2009年11月13日)や、「準備書面(2)」(2010年1月28日)で、その資料提示を求めていたもので、これに対し中野区は裁判で争う問題ではない、必要が生じていないとして、今まで回答してこなかったものです。
裁判長、被告の中野区に対し
原告の資料要請に応えるよう指示 裁判長は中野区に対し、行政としてどのように避難有効面積を算出したのか(原告の資料要請に)回答するよう指示しました。
中野区はその回答に2ヵ月の期間が必要と答えたため、原告側弁護人は工事が既に始まっているので、この期間の短縮を求めました。
これに対し被告側代理人は、「図面の確認に時間が必要」としましたが、原告の弁護人は、「具体的に避難有効面積の数字が出ているので図面の確認は終わっているはず。その図面をこれから確認するというのはおかしいのではないか」と追求しました。
被告側弁護人は「代理人として確認していないので、そのための時間が必要」と重ねて主張したため、裁判長は「無理強いはできない」として、被告側の準備期間を1ヵ月半として、中野区に5月中に資料を提出するよう指示しました。
また、原告側弁護人は、裁判長に、中野区に求めた回答の範囲は、「準備書面(3)」への求釈明なのか、今までの原告の要求に対してなのかを確認したところ、裁判長から「準備書面(3)」の求釈明に回答した上で、今までの要求への回答についても検討するよう指示がありました。
中野区が数字であげている避難有効面積を地図上に明記するのに2ヵ月を要するというのは長過ぎます。
この間にも工事は進んでいるのです。中野区は迅速に書面を用意すべきです。
三井グランド、下北沢からも傍聴に 15日の裁判には中野区を始め、杉並区の「三井グランド環境訴訟原告団」「まもれシモキタ行政訴訟の会」からも傍聴に来ていただきました。
冷たい雨の中傍聴にいらしてくださったみなさま、本当にありがとうございました。
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次回裁判日程第3回裁判(地区計画):2010年4月22日(木)午前10時45分から
東京地方裁判 所522号法廷、地区計画変更の違法性を求める裁判第5回裁判(防災公園) 2010年7月8日(木)午前10時15分〜 東京地裁522号法廷■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
原告側「準備書面(3)」の求釈明
1 乙27の内容の明確化の要請
被告は,乙27「1-33頁」を示して,基本計画どおりの建物が建設された場合に,避難有効面積が109,882平方メートルあると主張する。
しかし,この乙27は,単に,数字を示すものにすぎず,現実に,この数字の避難有効面積があるか否かは不明である。
そこで,以下の部分を明らかにすることを求める。
まず,「全体面積」とは地図上どの部分を指すのか図示されておらず,「有効面積」とは,地図上,どの部分を指すのか図示されていない。
そこで,被告に対して,これらを地図上で示して明らかにすることを求める。
さらに,「安全面積域」の有効面積100,048㎡,「準安全面積域」の有効面積9,834㎡の部分は,「調査項目の内訳」のどの部分に対応するか明確でないので,明確にすることを求める。
また,「安全面積域」,「準安全面積域」とは,地図上どの部分に対応するのか図示して明らかにされたい。領域面積,利用可能面積,利用不可面積,有効面積についても地図上に明示されたい。
仮に,図示できないというなら,その理由を示されたい。
2 みどりの基本計画に関する求釈明 みどりの基本計画(乙6)の14頁では,「中野区役所一帯の
広域避難場所の中核として,警察大学校等移転跡地に
約4ヘクタールの公園を都市計画決定し,整備推進に努めます。」と書かれている。
(1) 4ヘクタールの根拠を明示する要請 このように,みどりの基本計画の中で「約4ヘクタール」という広さを明示していることからすると,相応の検討の結果,4ヘクタールという数値に定められたものと考えられる。
そこで,この4ヘクタールという数値の決定した経緯及びその際の算定根拠について明らかにされたい。
(2) 1.5ヘクタールに減らしてもよいと判断した理由明示の要請 みどりの基本計画では,防災公園の面積を「約4ヘクタール」として,それだけの面積を確保することを明確に記載し,しかも,防災公園は,広域避難場所の「中核」という形で,避難場所の中でも重要な役割を担うものとして記載されている。
そして,今日において,4ヘクタールという面積はなくなったものの,防災公園が区役所一帯の広域避難場所の「中核」として扱われていることは変わらない。
すなわち,新しいみどりの基本計画である乙30の34頁では,「区役所一帯の広域避難場所の
中核として,警察大学校跡地に(仮称)中央部防災公園を整備します。」と記載されている。
しかし,この防災公園の面積が1.5ヘクタールとなった場合,被告主張の避難有効面積約10ヘクタールのうちの15%程度でしかない。また,この1.5ヘクタールとは,100メートル×150メートルの広さであり,小学校のグラウンドの広さよりも狭いくらいである。
この程度の面積で広域避難場所の「中核」としての役割を担えるか疑問である。
仮に,被告がこの程度の面積でも広域避難場所の中核を担えると考えるなら,その理由を示されたい。
また,被告が,防災公園の面積を1.5ヘクタールに減らしてもよいと判断した理由について,防災上の観点から合理的な理由を明らかにされたい。
3 乙21と乙27の避難有効面積の算定のしかたの明示の要請 乙21の6頁目(最後の頁)では,建築前の平成11年度当時の中野区役所一帯の広域避難場所の避難有効面積が97,962㎡であることを記載している。
これに対し,乙27では,基本計画の通り建築物が建てられた後の避難有効面積を109,882㎡であると記載している。
そこで,乙21の避難有効面積が97,962㎡と乙27の避難有効面積を109,882㎡とを図で示して,建築物と空地の広さがどのように変化したことになるのか明らかにされたい。
同時に建築前である平成11年度の全体面積,安全面積域,準安全面積域,利用可能面積,利用不可面積を地図上に図示されたい。
*乙27:被告側提出証拠の、「警察大学校跡地等関連支援業務報告書」。2008年度に建物建設を前提に避難場所の避難有効面積の検討を行った事及びのその検討結果。