2010年4月23日金曜日
[地区計画取消訴訟 第3回口頭弁論] 裁判長、被告の東京都に対し基本姿勢を正す
「中野駅周辺まちづくりガイドライン2007」45頁から
争点になっているのは凡例3つ目の「緩衝帯型オープンスペース」
ガイドラインに明記されている縦長楕円の部分が、現在の計画では 消えている
(左は拡大図)
4月22日(木)中野区の警察大学校等跡地で進められている開発計画は、周辺の環境を悪化させるとして、地区計画の取消を求めて被告の東京都を訴えている裁判の第3回口頭弁論が、東京地裁522号法廷で開かれました。
「緩衝帯型オープンスペース」はどこ?
はじめに、通常通り原告・被告双方の書面の確認の後、裁判長から議論の対象の確認が行われました。
具体的には、この裁判の重要な争点のひとつである「緩衝帯型オープンスペース」について、被告が今回追加で提出した証拠・乙14号証(「中野駅周辺まちづくりガイドライン2007」のP45、図参照)の図面上で、どこを指すのかの確認です。
裁判長から「区域6の濃い緑の部分か」と質問があり、被告側代理人は「区域1の縦長の楕円の部分と区域5の三角形の部分の2カ所である」と答えました。
また、原告側弁護人は「原告が問題にしている『緩衝帯型オープンスペース』は、ガイドラインの43頁にある【周辺との連続性に配慮したオープンスペースの形成】の中の『杉並区に隣接する西側隣地境界付近』の縦長の楕円の部分である」と答えました。
その後、裁判長は被告に、原告の準備書面に対して必要な認否・反論をするように指示しました。
原告からの追加要望
続いて裁判長は、議論の材料は揃ってきたという認識を示し、また次回被告による認否・反論が行われれば、一通りそれぞれの主張が出揃うとし、終結の判断に入ってよいのか、それとも人証等を予定しているのかを確認しました。
これに対し原告側弁護人が、以下の3点を要望しました。
1.求釈明の追加(「緩衝帯型オープンスペース」の定義・内容について、双方の認識に相違があると考えられるため、それを明らかにすること)
2.「地区計画の条例(中野区中野四丁目地区における建築物の制限に関する条例)」取消訴訟の併合(4月21日に提訴)
3.次回口頭弁論での原告による意見陳述
裁判長が被告に対し、原告が追加した求釈明———ガイドラインに書かれている「緩衝帯型オープンスペース」が当時どういう意味でつくられたのか———について回答するよう求めたところ、被告代理人から「中野区が対応したことであって、東京都としては答えられない……」といった趣旨の発言がありました。
しかし、裁判長は、「都市計画決定にあたり都は中野区と情報交換をしているはず。東京都の立場でどのような情報の把握をしているのかを説明するのが基本である」と指摘しました。
傍聴者との意見交換から
裁判の後は毎回、報告集会を開き、弁護団から裁判の説明を聞いて、傍聴者の方々と意見交換をしています。
今回の報告集会で、傍聴者から、次の発言がありました。
「同じ緩衝帯型オープンスペースでも、区域1の縦長の楕円の部分と区域5の三角形の部分の扱いは違っている。三角形の部分は緑地として都市計画決定されている」
「『緩衝帯』には、建物の高さの段階構成も、ふくまれるのではないか」
大きく変わった裁判のイメージ
裁判は、テレビドラマ等で見られるような法廷内での言葉の応酬で進むイメージを持っていましたが、実際には書面のやりとりでほとんどが占められていることに驚きなした。
また、開かれた法廷を目指すといいながら、素人の目には裁判で何が行われているのかが見えにくいことに戸惑いを禁じえませんでした。
しかし、前回の公園の裁判(4月15日)に引き続き今回の裁判でも、弁護団が原告団の気持ちを汲んで法廷で積極的に発言してくださっている姿を心強く思いました。
と同時に、被告側からも単なる受け答えだけでなく、法廷内で原告や傍聴者にわかるよう説明する姿勢を見せて欲しいと思います。
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次回期日
第4回口頭弁論:2010年6月10日(木)午前10:15〜
東京地裁522号法廷
原告による意見陳述など
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