2010年8月11日水曜日

中野区警大跡地訴訟提訴から1年の報告集会 盛会裡に終わる

7月26日、提訴から1年の報告集会を開催しました。

警大跡地市民フォーラム発足時から会員として支援いただいている参加者の方の感想をご紹介します。
                                                                                                     
















裁判支援に加わった初心
改めて思い起こす


昔懐かしい雰囲気の木造の舞台付大広間。

昼からの熱暑の続く会場にクーラーはない。

扇風機を配置し座卓をならべた満座の熱気のなか開幕。


《スライドによるプレゼンテーション》

●わかりやすい導入

報告では、これまでいろいろな会場で活躍してきた投影画像(パワーポイント)を駆使、解説を加えた完成予想画像や避難状況のシミュレーション画像などで、警大跡地利用計画の問題点と不当性が簡明に提示された。

それぞれの担当弁護士の説明を聞くに際し、これは参加者にとってとてもわかりやすい導入部になった。 

《富田裕・花澤俊之両弁護士の話から》

  














●訴えの正当性を再確認

私たちの側の訴えの正当性を再確認するとともに、「原告適格」と「処分性」の法の壁をどう突破するか、多くの行政訴訟同様に楽観を許さない厳しいものが依然としてこの訴訟にもあるということを改めて噛み締める。


《日置雅晴弁護士の記念講演を聞いて》

●立法府を変える世論形成を

建築学会・日弁連・国などの法改正への近年の動きや住環境を守る自治体行政の先進例が紹介された。

富田・花澤両弁護士の話と重ねて、建築・まちづくりにかかわる日本の法体系が、技術論先行で明確な理念を持っていないのではないかとの感をますます強くした。

理念のはっきりした上位法がない以上、法廷での争いも、そして判決も、技術論型の現行法の制約を引きずることになるのだと思わざるを得ない。

一方、「規制緩和」という名の改悪を重ねてきた現行法のもとでも、住民運動や訴訟の積み重ねのなか、住民側勝訴の最近のいくつかの判例や自治体での行政努力の事例があることも紹介された。

相次ぐ爭訟や自治体の動き・社会状況の変化と相まって、理念の明確化をめざす建築基本法制定など法改正への動きが活発になってきていること、今後1~2年が法改正の正念場になるとの話は、住民運動を取り巻く状況が大きな曲がり角を迎ようとしていることを強く印象づけるものだった。

政府の諮問会議での議論、建築関係諸団体による議論・提案、日弁連提案などについての話からは、今後の綱引きが激化するであろうことも垣間見えた。

住民運動の側からの見極めがいっそう重要になってくるに違いない。

住民の思いを反映した立法・法改正へと進むには、立法府を変えるほどの世論をつくれるかどうかにかかっていよう。

住民運動と結んだこの裁判がしっかりたたかわれれば、結節点を迎えようとしている法改正の動きのなかで、判決のいかんにかかわらず世論形成に寄与できるのではないかーー裁判支援に加わった初心を改めて思い起こした。

                                                                                                 

日置弁護士の講演の後、中野駅南口、東中野地域のまちづくり、中野サンプラザ問題に取り組むグループからの報告、また杉並や川崎、朝霞など中野区外の参加者の方々からも各地での都市計画問題に対する活動が紹介され、会場では活発な意見交換が行われました。

次回は地区計画の取消しを求める裁判です。

ご支援よろしくお願い申し上げます。

2010年8月9日月曜日

1年かかった  被告・中野区からの求釈明への回答

東京都中野区の警察大学校等跡地に計画されている防災公園の面積が、4ヘクタールから1.5ヘクタールに縮小されたのは違法だとして、中野区を訴えている裁判の第5回口頭弁論が、前回の口頭弁論(4月15日)から約3ヶ月ぶりの7月8日(木)、東京地裁522号法廷で開かれました。

前回原告は、「準備書面(3)」(2010年4月13日)で、被告中野区に対して、主に次の3点の求釈明を求めました。

①計画通りに建物が建設された場合の避難有効面積を地図上に明らかにすること
②「中野区みどりの基本計画」で公園を4ヘクタールと決定した経緯と算定根拠
③1.5ヘクタールに減らしてもよいと判断した理由

この回答に中野区が2ヵ月の期間が必要としたため、前回口頭弁論から3ヶ月もの期間が経つことになったわけです。

これらの求釈明については、原告が当初から求めていたものです。

これに対し中野区は、裁判で争う問題ではない、必要が生じていないとして、これまで回答していませんでした。

提訴から約1年、ようやくこれまでの求釈明に対する回答がなされました。

裁判長は、被告が求釈明に回答してきたことから「主要な論点はにつまりつつある」との解釈を示しています。

判断材料に乏しい回答内容

しかしその内容は判断材料となるべく具体性に欠き、新たな議論の展開には至らないものでした。

①については、「中野区役所一帯」安全性評価結果図も提出されたものの、そこに示された情報量があまりに少なく、②、③については今までの主張を繰り返したのみで、それぞれの公園面積を求めた根拠は示されていません。

また、避難有効面積算定の根拠となるべき図面を持っていないといった主張もされており、原告はより詳細な図面の提出等を求めました。

公園を都市計画決定する法的根拠となる「中野区みどりの基本計画」と、その上位計画である「中野区都市計画マスタープラン」の齟齬については、法体系の別を理由に齟齬があっても問題ないとし、みどりの基本計画に示された公園面積等は具体に決定されたものではなく努力目標であり、イメージ図程度の意味合いしかない、と主張しました。

これは、面積算定の根拠を明言する必要性を避けているようにも思えます。

「中野区みどりの基本計画」に書かれた数値はイメージなどではない

しかし、「中野区みどりの基本計画」は、中野区自らが「中野区都市マスタープラン」の個別計画として位置づけています。

「中野区みどりの基本計画」に即して防災公園の面積を4ヘクタール確保すべきです。

また、本文には「約4ヘクタールの公園を都市計画決定し、」と断言・明示されています。

これは努力目標やイメージなどではなく具体的な数値を都市計画決定したということであり、これに満たない約1.5ヘクタールの防災公園を都市計画決定したのは法律に違反していると、原告は反論しました。(「準備書面(4)」(2010年7月3日))

また、被告中野区は、原告が「東京都地域防災計画の避難有効面積1人1㎡を確保していない」と主張していることに対して、客観的根拠がないとしています。

原告は、東京都都市整備局が、避難場所等の安全性について首都大学大学院教授を中心とした避難場所安全性等調査研究委員会に調査研究を委託した報告書に、避難面積1人当たり1㎡の根拠が述べられているとして、その報告書の提出を求めました。

次につながる議論を

8日の裁判には中野区を始め、世田谷区の「にこたまの環境を守る会」、杉並区の「三井グランド環境訴訟原告団」、「阿佐ヶ谷住宅周辺の一種住専の環境を守る会」からも傍聴に来ていただきました。

暑い中、本当にありがとうございました。 

提訴から1年が過ぎましたが、これまでのやり取りで納得のいく議論ができたように思えません。

「三井グランド環境訴訟原告団」の方からご自身の裁判も含めて、「住民の安全性について、法律論で次につながる議論にする必要がある」というコメントをいただきましたが、この裁判を意味のあるものにするために、まだまだしなくてはならないことがあると感じています。

今後とも、みなさんのご理解とご支援をよろしくお願いいたします。