2010年8月9日月曜日

1年かかった  被告・中野区からの求釈明への回答

東京都中野区の警察大学校等跡地に計画されている防災公園の面積が、4ヘクタールから1.5ヘクタールに縮小されたのは違法だとして、中野区を訴えている裁判の第5回口頭弁論が、前回の口頭弁論(4月15日)から約3ヶ月ぶりの7月8日(木)、東京地裁522号法廷で開かれました。

前回原告は、「準備書面(3)」(2010年4月13日)で、被告中野区に対して、主に次の3点の求釈明を求めました。

①計画通りに建物が建設された場合の避難有効面積を地図上に明らかにすること
②「中野区みどりの基本計画」で公園を4ヘクタールと決定した経緯と算定根拠
③1.5ヘクタールに減らしてもよいと判断した理由

この回答に中野区が2ヵ月の期間が必要としたため、前回口頭弁論から3ヶ月もの期間が経つことになったわけです。

これらの求釈明については、原告が当初から求めていたものです。

これに対し中野区は、裁判で争う問題ではない、必要が生じていないとして、これまで回答していませんでした。

提訴から約1年、ようやくこれまでの求釈明に対する回答がなされました。

裁判長は、被告が求釈明に回答してきたことから「主要な論点はにつまりつつある」との解釈を示しています。

判断材料に乏しい回答内容

しかしその内容は判断材料となるべく具体性に欠き、新たな議論の展開には至らないものでした。

①については、「中野区役所一帯」安全性評価結果図も提出されたものの、そこに示された情報量があまりに少なく、②、③については今までの主張を繰り返したのみで、それぞれの公園面積を求めた根拠は示されていません。

また、避難有効面積算定の根拠となるべき図面を持っていないといった主張もされており、原告はより詳細な図面の提出等を求めました。

公園を都市計画決定する法的根拠となる「中野区みどりの基本計画」と、その上位計画である「中野区都市計画マスタープラン」の齟齬については、法体系の別を理由に齟齬があっても問題ないとし、みどりの基本計画に示された公園面積等は具体に決定されたものではなく努力目標であり、イメージ図程度の意味合いしかない、と主張しました。

これは、面積算定の根拠を明言する必要性を避けているようにも思えます。

「中野区みどりの基本計画」に書かれた数値はイメージなどではない

しかし、「中野区みどりの基本計画」は、中野区自らが「中野区都市マスタープラン」の個別計画として位置づけています。

「中野区みどりの基本計画」に即して防災公園の面積を4ヘクタール確保すべきです。

また、本文には「約4ヘクタールの公園を都市計画決定し、」と断言・明示されています。

これは努力目標やイメージなどではなく具体的な数値を都市計画決定したということであり、これに満たない約1.5ヘクタールの防災公園を都市計画決定したのは法律に違反していると、原告は反論しました。(「準備書面(4)」(2010年7月3日))

また、被告中野区は、原告が「東京都地域防災計画の避難有効面積1人1㎡を確保していない」と主張していることに対して、客観的根拠がないとしています。

原告は、東京都都市整備局が、避難場所等の安全性について首都大学大学院教授を中心とした避難場所安全性等調査研究委員会に調査研究を委託した報告書に、避難面積1人当たり1㎡の根拠が述べられているとして、その報告書の提出を求めました。

次につながる議論を

8日の裁判には中野区を始め、世田谷区の「にこたまの環境を守る会」、杉並区の「三井グランド環境訴訟原告団」、「阿佐ヶ谷住宅周辺の一種住専の環境を守る会」からも傍聴に来ていただきました。

暑い中、本当にありがとうございました。 

提訴から1年が過ぎましたが、これまでのやり取りで納得のいく議論ができたように思えません。

「三井グランド環境訴訟原告団」の方からご自身の裁判も含めて、「住民の安全性について、法律論で次につながる議論にする必要がある」というコメントをいただきましたが、この裁判を意味のあるものにするために、まだまだしなくてはならないことがあると感じています。

今後とも、みなさんのご理解とご支援をよろしくお願いいたします。

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