2010年4月25日日曜日

4月21日、地区計画の条例を提訴 訴訟は3つに

現在2つの裁判が進行中

 中野駅北口に広がる警察大学校等跡地は、戦前は陸軍中野学校、戦後は警察大学校警察学校などがあった国有地で、約14ヘクタール、東京ドーム3.5個分の広さに相当します。

 2001年、国の行政機関等の東京一極集中是正の目的で警察大学、警察大学校などが府中市へ移転しました。

 住民からは、跡地を、公園を中心にした計画にしてほしいという数多くの要望が中野区に出されましたが聞き入れられず、2007年と2009年に、高層ビルを中心とした地区計画が都市計画決定されました。

 こうして、中央部に整備される予定の1.5ヘクタールの防災公園と都市計画道路予定地を除く部分が民間に売却され、中野区に残された貴重な国有地のほとんどが失われました。

 この警察大学校等跡地の開発計画をめぐって、中野区と杉並区の住民が2009年5月と7月に、中野区と東京都を相手取り、計画の違法性確認と取消を求めて裁判を起こしました。

 同じ敷地内の開発計画ですが、都市計画決定権者が、防災公園は中野区、民間に売却された部分は東京都であるために、提訴する相手が違うという理由から私たちは現在、2件の裁判を闘っています。

たちはだかる都市計画の「処分性の壁」

 昨年の提訴に当たり私たちは、現在の都市計画を司法の場で争うには、「処分性の壁」「原告適格の壁」「裁量行為の壁」という、3つの壁があることを弁護団から教えられました。

 裁判が始まると、予想どおり、相手方からは、「原告には訴える資格がない(中野区)」、「地区計画には処分性がない(東京都)」、という反論がでてきました。

 「処分性がない」とは、地区計画は抽象的段階の計画であって、個別具体的な権利について影響を及ぼすものではない、従って行政処分にはあたらないというものです。

 これに対して私たちは、警大跡地地区計画決定までの経緯から、建築物の規模や配置、形態などは具体的に制限されているので地区計画には処分性がある、として東京都と争っています。

2009年10月、中野区が地区計画条例を制定

 今後事業者は建築確認申請の手続きに入りますが、地区計画だけでは建築確認の対象とならないため、地区計画に法的効力を持たせる「中野区中野四丁目地区における建築物の制限に関する条例」(地区計画条例)を昨年10月、中野区が制定しました。

 地区計画で定めた内容のうち、建築物の用途、構造及び敷地に関する制限を定めたものです。

 地区計画には処分性がないと反論する東京都に対して、条例には建築確認という処分性があることから、私たちは中野区の地区計画条例の取消を求めて4月21日に提訴しました。これにより、地区計画には処分性があることの主張が強まります。

地区計画条例取消訴訟、第1回裁判は6月10日

 追加した地区計画条例取消訴訟の第1回裁判の期日が決まりました。地区計画の取消を求めて東京都と争っている裁判と同じ日です。

 みなさまの、ご支援、傍聴をどうぞよろしくお願いします。

 ●地区計画取消訴訟、地区計画条例取消訴訟の裁判
  6月10日(木)午前10時15分〜
  東京地裁522号法廷
 (地下鉄「霞ヶ関」駅A1出口すぐ)

*訴状は、警大跡地市民フォーラム書庫
http://kdaiatochisimin-arch.blogspot.com/

2010年4月24日土曜日

警大跡地市民フォーラム、中野区長に「要望書」を提出

 私たち「警大跡地市民フォーラム」は、去る4月19日、田中大輔中野区長に下記の「要望書」を提出しました。

 この内容は、すでに4月15日の第4回裁判(防災公園)で、裁判長が、被告・中野区に対し、原告の資料要請に応えるよう指示している内容です。

 私たちは、田中大輔中野区長に、本来すぐに、資料として公表できるはずの関係図面の裁判所への提出が、なぜ1ヵ月半も必要なのか、大きな疑問を持っています。

 防災公園をふくむ、警察大学校等跡地再開発計画における「広域避難場所『中野区役所一帯』の避難有効面積109.882㎡」の地図上での明示など、私たちは、今回の「要望書」で、4月末日までの「回答」と「資料の公開」を求めました。

 みなさまの、ご理解と、ご協力をお願いいたします。

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2010年4月19日
警大跡地市民フォーラム

中野区長 田中 大輔 様

要望書

 花冷えの候、貴職におかれましてはご清祥のことと拝察致します。
 さて、この度、私たちは貴職にたいし以下のとおり要望致します。
 つきましては、ご査収のうえ早速なるご返答と資料の公開を2010年4月30日までにお願い致します。



1.中野区は警察大学校等跡地に予定されている『中央防災公園』等を含む広域避難場所『区役所一帯』の避難有効面積を109.882㎡あるとしています。
 この避難有効面積の積算根拠となった地図等の図面の公開を求めます。

2.なお避難有効面積のうち『安全面積域』100,048㎡、『準安全面積域』9,834㎡については区別して明らかにして下さい。

 また『領域面積』『利用可能面積』『利用不可能面積』『有効面積』についても地図上で明らかにして下さい。

以上

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【今後の裁判の日程】

第4回裁判(地区計画):2010 年6月10日(木)午前10時15分から
東京地方裁判所522号法廷
地区計画変更の違法性及び取消を求める裁判


第5回裁判(防災公園):2010年7月8日(木)午前10時15分から
東京地方裁判 所522号法廷
防災公園の面積縮小の違法性を求める裁判

2010年4月23日金曜日

[地区計画取消訴訟 第3回口頭弁論] 裁判長、被告の東京都に対し基本姿勢を正す





















「中野駅周辺まちづくりガイドライン2007」45頁から
争点になっているのは凡例3つ目の「緩衝帯型オープンスペース」
ガイドラインに明記されている縦長楕円の部分が、現在の計画では 消えている
(左は拡大図)

 4月22日(木)中野区の警察大学校等跡地で進められている開発計画は、周辺の環境を悪化させるとして、地区計画の取消を求めて被告の東京都を訴えている裁判の第3回口頭弁論が、東京地裁522号法廷で開かれました。

「緩衝帯型オープンスペース」はどこ?

 はじめに、通常通り原告・被告双方の書面の確認の後、裁判長から議論の対象の確認が行われました。

 具体的には、この裁判の重要な争点のひとつである「緩衝帯型オープンスペース」について、被告が今回追加で提出した証拠・乙14号証(「中野駅周辺まちづくりガイドライン2007」のP45、図参照)の図面上で、どこを指すのかの確認です。

 裁判長から「区域6の濃い緑の部分か」と質問があり、被告側代理人は「区域1の縦長の楕円の部分と区域5の三角形の部分の2カ所である」と答えました。

 また、原告側弁護人は「原告が問題にしている『緩衝帯型オープンスペース』は、ガイドラインの43頁にある【周辺との連続性に配慮したオープンスペースの形成】の中の『杉並区に隣接する西側隣地境界付近』の縦長の楕円の部分である」と答えました。

 その後、裁判長は被告に、原告の準備書面に対して必要な認否・反論をするように指示しました。

原告からの追加要望

 続いて裁判長は、議論の材料は揃ってきたという認識を示し、また次回被告による認否・反論が行われれば、一通りそれぞれの主張が出揃うとし、終結の判断に入ってよいのか、それとも人証等を予定しているのかを確認しました。

 これに対し原告側弁護人が、以下の3点を要望しました。

1.求釈明の追加(「緩衝帯型オープンスペース」の定義・内容について、双方の認識に相違があると考えられるため、それを明らかにすること)

2.「地区計画の条例(中野区中野四丁目地区における建築物の制限に関する条例)」取消訴訟の併合(4月21日に提訴)

3.次回口頭弁論での原告による意見陳述

 裁判長が被告に対し、原告が追加した求釈明———ガイドラインに書かれている「緩衝帯型オープンスペース」が当時どういう意味でつくられたのか———について回答するよう求めたところ、被告代理人から「中野区が対応したことであって、東京都としては答えられない……」といった趣旨の発言がありました。

 しかし、裁判長は、「都市計画決定にあたり都は中野区と情報交換をしているはず。東京都の立場でどのような情報の把握をしているのかを説明するのが基本である」と指摘しました。

傍聴者との意見交換から

 裁判の後は毎回、報告集会を開き、弁護団から裁判の説明を聞いて、傍聴者の方々と意見交換をしています。

 今回の報告集会で、傍聴者から、次の発言がありました。

「同じ緩衝帯型オープンスペースでも、区域1の縦長の楕円の部分と区域5の三角形の部分の扱いは違っている。三角形の部分は緑地として都市計画決定されている」

「『緩衝帯』には、建物の高さの段階構成も、ふくまれるのではないか」
 
大きく変わった裁判のイメージ

 裁判は、テレビドラマ等で見られるような法廷内での言葉の応酬で進むイメージを持っていましたが、実際には書面のやりとりでほとんどが占められていることに驚きなした。

 また、開かれた法廷を目指すといいながら、素人の目には裁判で何が行われているのかが見えにくいことに戸惑いを禁じえませんでした。

 しかし、前回の公園の裁判(4月15日)に引き続き今回の裁判でも、弁護団が原告団の気持ちを汲んで法廷で積極的に発言してくださっている姿を心強く思いました。

 と同時に、被告側からも単なる受け答えだけでなく、法廷内で原告や傍聴者にわかるよう説明する姿勢を見せて欲しいと思います。

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次回期日

第4回口頭弁論:2010年6月10日(木)午前10:15〜 

東京地裁522号法廷

原告による意見陳述など
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2010年4月17日土曜日

第4回裁判(防災公園)終了しました
































被告・中野区への求釈明


 中野区・警察大学校等跡地に計画されている防災公園の面積が4ヘクタールから1.5ヘクタールに縮小されたのは違法だとして中野区を訴えている裁判の第4回口頭弁論が、4月15日(木)、東京地裁522号法廷で開かれました。

 今回の裁判は、原告が「準備書面(3)」(2010年4月13日)で、計画通りに建物が建設された場合の避難有効面積を地図上に明らかにすること、「中野区みどりの基本計画」で公園を4ヘクタールと決定した経緯と算定根拠、1.5ヘクタールに減らしてもよいと判断した理由などの求釈明(文末に詳細)を、被告である中野区に求めました。

 これらは、「準備書面(1)」(2009年11月13日)や、「準備書面(2)」(2010年1月28日)で、その資料提示を求めていたもので、これに対し中野区は裁判で争う問題ではない、必要が生じていないとして、今まで回答してこなかったものです。

裁判長、被告の中野区に対し
原告の資料要請に応えるよう指示

 裁判長は中野区に対し、行政としてどのように避難有効面積を算出したのか(原告の資料要請に)回答するよう指示しました。

 中野区はその回答に2ヵ月の期間が必要と答えたため、原告側弁護人は工事が既に始まっているので、この期間の短縮を求めました。

 これに対し被告側代理人は、「図面の確認に時間が必要」としましたが、原告の弁護人は、「具体的に避難有効面積の数字が出ているので図面の確認は終わっているはず。その図面をこれから確認するというのはおかしいのではないか」と追求しました。

 被告側弁護人は「代理人として確認していないので、そのための時間が必要」と重ねて主張したため、裁判長は「無理強いはできない」として、被告側の準備期間を1ヵ月半として、中野区に5月中に資料を提出するよう指示しました。

 また、原告側弁護人は、裁判長に、中野区に求めた回答の範囲は、「準備書面(3)」への求釈明なのか、今までの原告の要求に対してなのかを確認したところ、裁判長から「準備書面(3)」の求釈明に回答した上で、今までの要求への回答についても検討するよう指示がありました。

 中野区が数字であげている避難有効面積を地図上に明記するのに2ヵ月を要するというのは長過ぎます。

 この間にも工事は進んでいるのです。中野区は迅速に書面を用意すべきです。

三井グランド、下北沢からも傍聴に

 15日の裁判には中野区を始め、杉並区の「三井グランド環境訴訟原告団」「まもれシモキタ行政訴訟の会」からも傍聴に来ていただきました。

 冷たい雨の中傍聴にいらしてくださったみなさま、本当にありがとうございました。

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次回裁判日程

第3回裁判(地区計画):2010年4月22日(木)午前10時45分から
東京地方裁判 所522号法廷、地区計画変更の違法性を求める裁判


第5回裁判(防災公園) 2010年7月8日(木)午前10時15分〜 東京地裁522号法廷
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原告側「準備書面(3)」の求釈明

1 乙27の内容の明確化の要請

 被告は,乙27「1-33頁」を示して,基本計画どおりの建物が建設された場合に,避難有効面積が109,882平方メートルあると主張する。

 しかし,この乙27は,単に,数字を示すものにすぎず,現実に,この数字の避難有効面積があるか否かは不明である。

 そこで,以下の部分を明らかにすることを求める。

 まず,「全体面積」とは地図上どの部分を指すのか図示されておらず,「有効面積」とは,地図上,どの部分を指すのか図示されていない。

 そこで,被告に対して,これらを地図上で示して明らかにすることを求める。

 さらに,「安全面積域」の有効面積100,048㎡,「準安全面積域」の有効面積9,834㎡の部分は,「調査項目の内訳」のどの部分に対応するか明確でないので,明確にすることを求める。

 また,「安全面積域」,「準安全面積域」とは,地図上どの部分に対応するのか図示して明らかにされたい。領域面積,利用可能面積,利用不可面積,有効面積についても地図上に明示されたい。

 仮に,図示できないというなら,その理由を示されたい。

2 みどりの基本計画に関する求釈明

 みどりの基本計画(乙6)の14頁では,「中野区役所一帯の広域避難場所の中核として,警察大学校等移転跡地に約4ヘクタールの公園を都市計画決定し,整備推進に努めます。」と書かれている。

(1) 4ヘクタールの根拠を明示する要請

 このように,みどりの基本計画の中で「約4ヘクタール」という広さを明示していることからすると,相応の検討の結果,4ヘクタールという数値に定められたものと考えられる。

 そこで,この4ヘクタールという数値の決定した経緯及びその際の算定根拠について明らかにされたい。

(2) 1.5ヘクタールに減らしてもよいと判断した理由明示の要請

 みどりの基本計画では,防災公園の面積を「約4ヘクタール」として,それだけの面積を確保することを明確に記載し,しかも,防災公園は,広域避難場所の「中核」という形で,避難場所の中でも重要な役割を担うものとして記載されている。

 そして,今日において,4ヘクタールという面積はなくなったものの,防災公園が区役所一帯の広域避難場所の「中核」として扱われていることは変わらない。

 すなわち,新しいみどりの基本計画である乙30の34頁では,「区役所一帯の広域避難場所の中核として,警察大学校跡地に(仮称)中央部防災公園を整備します。」と記載されている。

 しかし,この防災公園の面積が1.5ヘクタールとなった場合,被告主張の避難有効面積約10ヘクタールのうちの15%程度でしかない。また,この1.5ヘクタールとは,100メートル×150メートルの広さであり,小学校のグラウンドの広さよりも狭いくらいである。

 この程度の面積で広域避難場所の「中核」としての役割を担えるか疑問である。

 仮に,被告がこの程度の面積でも広域避難場所の中核を担えると考えるなら,その理由を示されたい。

 また,被告が,防災公園の面積を1.5ヘクタールに減らしてもよいと判断した理由について,防災上の観点から合理的な理由を明らかにされたい。

3 乙21と乙27の避難有効面積の算定のしかたの明示の要請

 乙21の6頁目(最後の頁)では,建築前の平成11年度当時の中野区役所一帯の広域避難場所の避難有効面積が97,962㎡であることを記載している。

 これに対し,乙27では,基本計画の通り建築物が建てられた後の避難有効面積を109,882㎡であると記載している。

 そこで,乙21の避難有効面積が97,962㎡と乙27の避難有効面積を109,882㎡とを図で示して,建築物と空地の広さがどのように変化したことになるのか明らかにされたい。

 同時に建築前である平成11年度の全体面積,安全面積域,準安全面積域,利用可能面積,利用不可面積を地図上に図示されたい。

*乙27:被告側提出証拠の、「警察大学校跡地等関連支援業務報告書」。2008年度に建物建設を前提に避難場所の避難有効面積の検討を行った事及びのその検討結果。

2010年4月5日月曜日

ご支援よろしくお願いします 次回裁判のお知らせ


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防災公園訴訟の第4回口頭弁論
 4月15日(木)午前10時15分~  
  東京地裁522号法廷

地区計画訴訟の第3回口頭弁論
 4月22日(木)午前10時45分~  
  東京地裁522号法廷

※両日の裁判終了後に、弁護団との報告集会があります。

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●最近の警大跡地ウオッチング(2010年3月22日)はこちらから


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●三菱商事ビルでガラス520枚撤去、09年の落下は不純物膨張