2010年2月8日月曜日
裁判長、中野区に対し「避難有効面積」の意味と「中野駅周辺まちづくり計画」の位置づけについて説明を求める
公園面積4haから1.5haへの 変更は、開発内容の変質でもありました
裁判長、中野区に対し
「避難有効面積」の意味と
「中野駅周辺まちづくり計画」の位置づけについて
説明を求める
2009年2月5日(金)、警大跡地の防災公園面積縮小の違法性を問う裁判の、第3回口頭弁論がありました。
原告側住民の訴えの内容は、次のとおりです。
1.「中野区みどりの基本計画」には、警大跡地の防災公園について、「中野区役所一帯広域避難場所の中核として、警察大学校等移転跡地に4ヘクタールの公園を都市計画決定し、整備推進に努めます」と明記されている。
2.みどりの基本計画は、都市緑地法第4条の2に基づいて策定されたものであるが、その法的性格は、都市計画マスタープランの個別計画の性格を併せ持っており、都市計画マスタープランの一部をなすものである。
3.都市計画マスタープランは、「市町村の都市計画に関する基本的な方針」(都市計画法第18条の2第1項)にあたり、「市町村が定める都市計画は、基本方針に即したものでなければならない」(同法第18条の2第4項)と規定されている。
4.したがって、中野区が定める個々の都市計画は、中野区みどりの基本計画を含む、都市計画マスタープランに即したものでなければならない。
5.警大跡地の防災公園の面積を1.5haとした都市計画決定は、みどりの基本計画に示された面積を大幅に下回っており、基本方針に即したものとは言えず、都市計画法第18条の2第4項に反しており、違法である。
※「中野区みどりの基本計画」=2001年策定、2009年改定
これに対し、被告の中野区は、「中野区みどりの基本計画」は、基本方針を具体化する計画であって、基本方針の一部をなす計画ではないので、4haの防災公園の都市計画決定が、みどりの基本計画に反するからといって違法ではない、と反論しています。
訴訟の争点を説明すると、このようになりますが、私たち住民の訴えの争点は、計画決定に至るまでのプロセスと、計画自体の妥当性にあります。
中野区が、①計画決定の手続きにおいて、住民に対し、十分な情報提供をしてこなかったことや、説明責任を果たしてこなかったこと、②必要な避難面積と避難場所としての安全性が本当に確保されているのかなどを明らかにするために、③計画が決定された段階でできる唯一の住民の権利行使の手段として、司法に訴えたのです。
これまでのところ、中野区は、原告の主張に対する反論よりも、そもそも原告には、訴える資格や、訴えの利益がないなどと、裁判の入り口部分の反論を展開し、訴えの中身である違法性の議論に立ち入ろうとしていません。
5日の法廷で、八木一洋裁判長は、中野区に対し、次の2つについて説明を求めました。
1 中野区が書面で使っている「避難有効面積」の言葉の意味について
中野区は、準備書面の2頁と3頁で、「避難有効面積」という言葉を使っているが、それぞれ中身が違うように思われる。
法令などの根拠があるのか。
2 「中野駅周辺まちづくり計画」(2005年策定)はどういう性格のものとして策定されたのか
原告の、みどりの基本計画と齟齬があるという主張について理解したいので、この計画の位置づけについて知りたい。
また、次回までに、主張を立証するのかどうか(違法性の議論に入るのかどうか)方針を決定してほしいということも、中野区に指示しました。
原告側からも、中野区に対し、避難場所としての民有空地、オープンスペース、避難面積、避難人口などに関する資料の公開を、繰り返し要請しています。
次回裁判は、4月15日(木)午前10時15分~ 東京地裁522号法廷です。
最後になりましたが、傍聴に来てくださったみなさま、どうもありがとうございました。
2010年2月4日木曜日
いのちを守る都市計画を
警大跡地の防災公園予定地付近
左奥の三角の建物は中野サンプラザ
(2009年5月に撮影)
防災公園の面積縮小の違法性を問う第3回裁判
○2月5日(金)午前10時15分から
○東京地裁522号法廷
地下鉄「霞ヶ関」駅A1出口すぐ
「いのちを、守りたい。」
鳩山首相の施政方針演説はこの言葉から始まりました。
昨年11月27日、警大跡地訴訟の原告団は第2回裁判でスライドによるプレゼンテーションを行いましたが、このプレゼンのテーマも、期せずして「住民のいのちを守る」でした。
広域避難場所の中核となる警大跡地の防災公園の面積縮小は、周辺住民らの生命を守る避難場所として、十分な広さ、機能などを確保できないとして、その違法性を訴えている裁判です。
「いのちを守る」を最優先に都市計画を考えてほしいというのが、住民の願いです。
被告の中野区は、これまで準備書面において、私たちの訴えは①当事者の権利・利益ないし法律関係・法的地位となんら関係しないので法律関係の要件を欠き不適法な訴えであり、②過去の事実の違法確認だから確認の利益がなく、③仮に①が適法だとしても、東京都震災対策条例47条は、個々の避難場所周辺住民の個別的、具体的利益を保護するものではない、と反論しています。
2月5日の裁判で注目すべきは、この中でも③についてです。
中野区は、「避難場所の指定は、法律の規定に基づくものではなく、東京都震災対策条例(以下「都条例」という)47条1項の規定に基づくものである。」「都条例2条に定める都知事の基本的責務は……東京都民一般に対する都知事の行政上の責務の目標を示すものにすぎず」「都条例は、47条1項の規定による都知事の避難場所の指定に何の法的効果も与えておらず、ある特定の土地が避難場所として指定されても、一般区民に当該避難場所を利用・占有できる権利等を付与するものではない」と釈明しています。
(*ここで気になるのが都条例47条1項の内容ですが「知事は、震災時に拡大する火災から都民を安全に保護するため、広域的な避難を確保する見地から必要な避難場所をあらかじめ指定しなければならない」と規定しています。)
つまり、「震災時に拡大する火災から都民を安全に保護する」ことは、都知事の責務の目標に過ぎず、東京都民一般というのはあくまで一般で、私でもあなたでもない、ということのようです。
中野区の考える公益は、一人ひとりの「いのち」の総体でないようですが、個々の区民の生命を守らずして公益が存在するのか、法律にも、いのちを吹き込んでほしいと切に思います。
原告団がどう反論しているかについては、裁判の後で弁護団から報告があります。
みなさま、どうか、2月5日の第3回口頭弁論の傍聴をお願いいたします。
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